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蟹の横歩き ヴィルヘルム・グストロフ号事件
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2003/03/26 |
JAN | 9784087733839 |
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蟹の横歩き
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蟹の横歩き
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商品レビュー
3.6
9件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
NHKの映像の世紀「ふたつの敗戦国 ドイツ さまよえる人々」という回にて紹介されていて、興味を持って借りた本。番組内では、戦後ドイツはナチスドイツの加害の歴史を薄めないためにも、ドイツの被害の歴史は特に語られてこなかったことが取り上げられ、確かに表題のヴィルヘルム・グストロフ号事件も知らなければ、東欧に住んでいたドイツ系住民の強制送還の歴史も知らなかったなあと。その強制送還された住民の中に、のちにノーベル文学賞を取ったグラスがいて…という話になっていた。月曜日放送後、瞬く間に県内の図書館が貸出中になっていたので笑、みんな見てるんだなと思いました笑 本を開くと「忘レヌタメニ」の一文 その後物語は「蟹の横歩き」をしながら進むーすなわち、実際のヴィルヘルム・グストロフ号事件が起きるまでの歴史と、事件の生き残りの母から沈没後生まれた主人公、その母にナチ化されていく息子、そしてその息子が引き起こす奇妙な鏡のような事件との間を。 物語として面白く読ませるな、そして寓話性の中のメッセージがしっかり伝わってくるのも、唸ってしまった。 特に本の最後、話の筋としても息子が極右思考にネットでハマり殺人を犯して服役している姿に向き合う中で、これで一件落着、とそうは問屋が卸さない。そうして日々向き合うことで忘れないように、これは昔のことではなく、今現在起きうる事象だということを心に刻みつけなければならないのだ。 …長いことかかった。忌まわしい船の名前はウィンドーにあったが、新しい何もなく、しめくくりのためのこれはといったものはない。しかし、やがて恐れていた以上のすごいのがきた。特別の宛先のもとにドイツ語と英語でサイトが伝えてきた。《www.同志会 コンラート・ポクリーフケ de》。そのあり方と思想が模範的で、だからして体制に投獄された者。 「われわれはきみを信じる。きみを待っている。きみに従う…」などなど、さらにまた、さらにまた。 終わらない。決して終わらないのだ。 息子は新たな偶像と化し、同じように・幽霊のように再生産されるドイツを守ろうとした悲劇の英雄というイメージ、、まさに「終わらない。決して終わらないのだ。」だ。脱力感、物語をどこか「めでたしめでたし」で終わり、現実世界とは別に区切りをつけて読めるものだという感覚を正面から指さされたような、そんな気持ちになった。(これぞ文学の力) また息子が裁判で、「…原則的にぼくはアンチ・ユダヤではありません。ぼくはヴィルヘルム・グストロフと同じ考え方で、ユダヤ人はアーリア人種のなかの異物だと思うのです。だからイスラエルへ行くべきで、そこがふさわしいのです。…」という発言を読み、そういう論理展開なんだ?!というのは初めて知ったな…。 何はともあれ、映像の世紀を見なければ知らなかったし、そこできちんと出会えて読めたのはよかった。
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旅した町グダニスクを再訪した気分に、目に浮かぶ港町の風景。 ドイツ領時代に暮らしたドイツ男性と教会修復を生業とするポーランド女性の老いらくの恋。 時は東欧革命の最中、ドイツとポーランド関係を見つめ直す小説。 グダニスクは歴史ある街だけあって、その近郊にも見どころのある街がいく...
旅した町グダニスクを再訪した気分に、目に浮かぶ港町の風景。 ドイツ領時代に暮らしたドイツ男性と教会修復を生業とするポーランド女性の老いらくの恋。 時は東欧革命の最中、ドイツとポーランド関係を見つめ直す小説。 グダニスクは歴史ある街だけあって、その近郊にも見どころのある街がいくつかある。グディニャは外航船やフェリーが行き来する北の玄関口であり、ポーランド海軍本部もある軍港でもある。そのグディニャとグダニスクの間に位置するソポトは、海辺の一大リゾート地で立派なスパ施設が建ち並び、ヨーロッパ一長い木製桟橋 (Pier in Sopot / Molo w Sopocie)で有名だ。 グダニスク、グディニャ、ソポトは「三連都市」(Trójmiasto)と呼ばれ、それら都市間のつながりも強い。グダニスク逗留の中でドライブをして、こららの街を訪ねてみた。 ちなみに、グディニャに興味を持つきっかけとなったのは、ギュンター・グラスの小説『蟹の横歩き ヴィルヘルム・グストロフ号事件』を読んだからであった。この本の題材は第二次大戦末期、ポーランドから脱出するドイツ避難民を満載した船「ヴィルヘルム・グストロフ号」の事件。この避難に使われた船がソ連の潜水艦に撃沈され、9,400人が犠牲となる大事件が終戦間際に起きた。小説内では、沈没時の混乱の描写が興味深く描かれており、その後日譚とともにこの事件には強い印象を持った。それ故に、どうしてもグディニャを訪れてみたくなったのだ。 ● ヨーロッパ一の木製桟橋を見学しに ソポト(Sopot)へ ● ポーランド最大の港 グディニャ(Gdynia)へ ● 小説『蟹の横歩き ―ヴィルヘルム・グストロフ号事件』 ギュンター・グラス著 を読む グディニャをもうひとつ有名にしている話がある。第二次大戦中、ポーランドがせっかくつくったグディニャ港はドイツに占領され、その期間のみ町は改名され「ゴーテンハーフェン」(ゴート族の港の意)となった。そして、1945年の大戦末期、迫りくるソ連軍に追われたドイツ民間人がドイツ本国に避難する際に脱出港として選んだのがグディニャ港であった。 そのグディニャからの脱出で使われ、避難民を満載した船「ヴィルヘルム・グストロフ号」がソ連の潜水艦に撃沈され、9,400人が犠牲となる大事件が起こる。その沈没時の混乱の描写と物語を興味深く描いたのがギュンター・グラスの小説『蟹の横歩き ヴィルヘルム・グストロフ号事件』。グディニャを訪ねてみたくなるきっかけとなった本だ。 この「ヴィルヘルム・グストロフ号」は乗客約1500名が乗船できる客船で、客室は463室もある。劇場やプールも備えており、豪華客船と言える。発注したのは、歓喜力行団(KdF)と言うナチスが国民に対して福利余暇活動を提供する組織。この組織と幹部のロベルト・ライによって、ドイツ国民に対して船旅であるクルーズが大々的に企画され、労働者に提供された。このような船は「ヴィルヘルム・グストロフ号」以外にも7隻も就航していたらしい。この船を発注した歓喜力行団(KdF)は、ヒトラーの国民車構想で生まれたフォルクスワーゲンの購入制度なども運営し、ナチス政権の人気獲得に大きく貢献していた。 詳細はコチラ↓ グダニスク近郊 ガイド 1 グディニャ / バルト海の三連都市 グディニャ、ソポトとギュンター・グラスの小説『蟹の横歩き ヴィルヘルム・グストロフ号事件』 を読む https://jtaniguchi.com/gdansk-gdynia-sopot/
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結局『ブリキの太鼓』を途中までで放棄した状態にある自分が、フクションかどうかの違いはあれ、本作を読めるのか、自信はなかった。ナチス体制に埋もれてしまい、歴史のタブーとされた本事件を、小説仕立てで読ませてくれるだけでも本作の価値はあろうというもの。未だ終わらぬという意味合いで語り手...
結局『ブリキの太鼓』を途中までで放棄した状態にある自分が、フクションかどうかの違いはあれ、本作を読めるのか、自信はなかった。ナチス体制に埋もれてしまい、歴史のタブーとされた本事件を、小説仕立てで読ませてくれるだけでも本作の価値はあろうというもの。未だ終わらぬという意味合いで語り手を現在に持ってきて、問題の根深さを浮き彫りにしている反面、横歩きであっちやこっちやに人物や背景が飛ぶ分、理解が追い付かなくなってしまうという事態も出来しました。読解力の問題化もしらんけど。これを機に、もう一度ブリキにも挑戦しようかな。
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