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アナリティカル・マルキシズム
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ナカニシヤ出版/ |
発売年月日 | 1999/06/30 |
JAN | 9784888485050 |
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アナリティカル・マルキシズム
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アナリティカル・マルキシズム(AM、分析的マルクス主義)とは、数理経済学やゲーム理論や記号論理学といった手法を用いてマルクス主義を再構築しようとする潮流である。 こうした手法に対しては、「マルクスの哲学的深みが失われてしまう」「弁証法論理と形式論理は異なるもので、資本主義のダイナ...
アナリティカル・マルキシズム(AM、分析的マルクス主義)とは、数理経済学やゲーム理論や記号論理学といった手法を用いてマルクス主義を再構築しようとする潮流である。 こうした手法に対しては、「マルクスの哲学的深みが失われてしまう」「弁証法論理と形式論理は異なるもので、資本主義のダイナミクスを表現できるのは弁証法のほうだ」という批判がある。しかし物理学の例を見ても分かるように、必ずしも数学による分析が浅薄で皮相なものになるとは言えない。そもそも「弁証法論理」というものがいまや時代遅れで、マルクス主義に興味を抱いている人だけが接近しうるだけのものになっている。マルクス主義に真実があるなら、その真実はほかの土壌に移植しても生き続けることができるだろう。 ノージック(リバタリアニストであり、もちろんAM派ではない)は財の取得と移転のプロセスが正当ならば、取得した財の量に格差が生じても、それ自体としては不当なことではない、と主張する。こうした観点からすればマルクスの搾取理論も効力を失ってしまう。いかに搾取が行われていようとも、労働力商品の売買は等価交換であり、市場のルールに則っていることをマルクス自身が認めているからだ。「搾取」と言われるのは、労働者が必要労働を超えた剰余労働を行う事実に他ならない。そのため、AM派の代表的論者であるローマーは、厚生経済学の枠組みで搾取理論を再構成するために、「財の初期保有量による階級分離」というかたちで、搾取を再定義する。つまり初期保有量の差によって、その後のプロセスが市場ルールの観点から見ていかに正当であっても、階級の分離がなされ、そのことによって社会厚生の、一方での低下と他方での上昇が起きているならば、そのことを搾取と呼ぶのだ。このように定義された搾取は、実はマルクスの意味での搾取を特殊として含む一般化になっている。 AM派は上記のようなやり方で、マルクスの搾取についての議論を数理経済学的に整理したあとで、次に、その不平等を解消するためにいかなる財の配分が適切であるのか、そしてそれをどのような方法で実現するのか、という問題に移っていく。そのために採用されるのは、「市場社会主義」である。 そのほかにも、興味深い論点が多数ある。 「平等」を扱った章もおもしろい。ひとくちに「平等」と言っても、考え出すと難しい問題が多数出てくる。一般的には「結果の平等」と「機会の平等」の違いがよく言われる。しかしこの二つを峻別するのは難しい。たとえば遺産の相続についてはどうか。それは親世代からは結果であるが、子世代からは機会である。 数式こそあまり出てこないが、ちゃんと理解するには予備知識がたくさん必要な本である。巻末には参考文献が多数挙げられている。真剣にマルクス主義・社会主義について考えてみたい人には有益な本だろう。
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