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ヨーロッパに消えたサムライたち
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店/ |
発売年月日 | 1999/07/25 |
JAN | 9784048835794 |
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ヨーロッパに消えたサムライたち
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商品レビュー
4.5
3件のお客様レビュー
読んでみれば「既読」だった。という、よくあるパターン。何故スペインのこんな小村にハポン性の人々が、ってのが大きな肝だが。著者の最新作「支倉常長遣欧使節もうひとつの遺産」は、同テーマで最新データでリニューアルした期待作。楽しみです。
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遠藤周作の「侍 (新潮文庫) 」を読まれた方は本書も読まれては如何でしょうか。 「侍 (新潮文庫) 」のモデルになった実在の主人公たちの本です。 実在の侍たちがまた違った意味で生き生きと書かれており、 また「侍」とはまた違った印象を持ちます。 読んでいてドキドキしました。
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歴史には脇役は存在しない。 歴史には悪役は存在しない。というのが、かねてからの私の持論である。突き詰めて詳しく知れば知るほど、どんな敵役にも、彼ら自身の「正義」がかならずある。彼らなりの止むに止まれぬ事情が例外なくある。という思いからだ。 今回更に『ヨーロッパに消えた...
歴史には脇役は存在しない。 歴史には悪役は存在しない。というのが、かねてからの私の持論である。突き詰めて詳しく知れば知るほど、どんな敵役にも、彼ら自身の「正義」がかならずある。彼らなりの止むに止まれぬ事情が例外なくある。という思いからだ。 今回更に『ヨーロッパに消えたサムライたち』を読み、あらためて思ったのは、1人ひとりに注目しスポットを当ててみれば、どんな端役とおぼしき人物にも、彼の人生とドラマがある。歴史にも、この世にも「主役」以外の人間などいないという真実である。 コリア・デル・リオ。南スペインの小さな町である。この町に、「ハポン(=日本)」という姓を名乗る人々が今800人以上いる。彼ら自身は、自分達は遠い昔やってきた日本のサムライの子孫だと信じている。400年前、仙台からメキシコ、スペインを経由しローマまで訪ねた慶長遣欧使節団のうち、帰国せずに残留した侍が、彼らの祖先だと言われている。 このセンセーショナルな事実は、スペインでも日本でも近年数多く報じられ知る人も多いはずだ。私も幾つかの番組で観て知っていた。だから、支倉常長関連の書物を十冊以上も読み漁っていたときでも、「ああ、あの話ね。中身はわかってるよ」と、書名だけ見て食指は動かなかった。 信長・秀吉・家康はいうまでもなく、戦国から江戸時代初頭の歴史の「主役」である。したがって、伊達政宗は常に二番手以下に控える脇役に過ぎない。だが周知のように政宗を主役とする物語は、先の3英傑に比べて遜色ないほど多数存在し、なおかつ人々の興味を引くものが多い。 支倉常長は、政宗の物語においては脇役のひとりに過ぎない。だが遠藤周作の『侍』を持ち出すまでもなく、彼は慶長遣欧使節をめぐる悲劇の主人公に他ならず、英傑や英雄の物語をはるかに凌ぐ人間ドラマの主役であるのだ。 そして更に、常長のドラマには名も知られぬ端役が数多く存在する。仙台周辺には姓も名も定かではない彼の従者だったものの墓が幾つも存在する。厳しい旅の途上で命を落とした者もいた。そして、帰国しても歓迎される見込みの無かった彼らのうち、苦渋の選択ののちスペインに残留した者たちも何人かいたのだ。 著者は、極めて丁寧な調査と研究により、コリアに残留した「サムライ」は4人であること。そのうちの1人瀧野嘉兵衛は、何年か後の現地の裁判記録で間違いなく残留していた事実を突き止める。 本書は、数多くの報道や歴史書では見向きもされてこなかった無名の端役に注目し、彼らの物語に迫った労作である。私自身も彼らの物語を見過ごしていたことを、深く後悔させられた。 中公新書の『支倉常長』や和辻哲郎文化賞受賞の『支倉慶長遣欧使節の真相』の著者大泉光一氏は、常長研究の第一人者であろう。氏は長いメキシコ在住中の研究により、「メキシコでの」使節団の研究を柱に金字塔といえる成果を成し遂げられた。 遠藤周作は、メキシコへの取材旅行中若き頃の大泉氏に出会い、『侍』を著した。常長の内面の懊悩や、宗派間の相克は、自身が悩めるキリスト者である遠藤氏をもってはじめて迫りえた物語であろうと思う。 本書の著者太田氏はスペイン文化研究者である。使節団がスペインに渡った以後の旅程の記述は、当然ながら類書を圧倒している。セルバンテスやカルメンを引き合いにだした記述は、当地の文化に精通した著者ならではと唸らせる。 おそらくは、スペインではコリア周辺にのみ例外的に伝播した「稲作」と残留日本人との関連性を実証してゆくことなどが、太田氏の今後の研究テーマとなってゆくのだろうと読み取ることができる。 「定年後、毎年、春の数ヶ月はこの地(=コリア)に住んでみるつもりにしている」とまで著者はいう。 この本は、それほどのめり込むことのできるテーマに出会った、ある研究者の物語でもあったのだ。 ここにも主役が1人いた。私をいちばん感動させたのはそのことだ。
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