三重が、燃えている

中村征之(著者)

• 販売会社／発売会社: 公人の友社/
• 発売年月日: 1999/06/15
• JAN: 9784875552833

商品レビュー

2015/12/07

北川正恭知事時代の三重県の事務事業評価システムを中心とする行政改革の経緯や内容を知るには最適。新聞記者が著者だけあって、非常に読みやすく、よくまとまっている。
職員参加・ボトムアップ型の改革の仕組みとしての「事務事業評価システム」、使い残し奨励予算、予算編成などでの庁内分権（総務部の解体）、公的関与の考え方の整理など、自治体のあり方として現在でも色あせない挑戦的な試みが多かったんだなと感心した。しかし、現在の三重県庁にはあまり受け継がれていないことが多く、なぜこれらの意欲的な試みが十分に定着しなかったのだろうという疑問も感じた。やはり最初は意欲的な試みでも、だんだんマンネリ化、形骸化が進んでいったのだろうか。
本書のなかでは、事務事業評価システムの評価表の成果指標を政策広聴広報課、高齢者対策課、小児診療センターあすなろ学園、学校教育課、県道路整備課で比較検証している箇所が特に興味深かった。
一方、著者の新聞記者という背景もあるのか、政治主体としての住民、市民への高い期待についてはしばしで触れられているが、それについてはちょっと理想主義に過ぎるのではないかという感想ももった。