日本型悪平等起源論 「もの言わぬ民」の深層を推理する 光文社文庫

島田荘司(著者), 笠井潔(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 1999/12/20
• JAN: 9784334729325

商品レビュー

2010/05/28

島田荘司の知識・思想…

[文庫ＯＦＦ]

島田荘司の知識・思想の奥深さに圧倒されました。

2022/07/09

20年以上前の本ですが、ここで指摘されている日本の状況はますます悪化しているような気がしています。二人の著者の分析と対応策の提言については、全て賛同できる訳ではありませんが、個別には傾聴に値する、刺激的な所が多くあります。
少し気軽に日本社会と日本人の、行動、思考特性を考えてみようとするには今でも役に立つと思います。

2020/06/14

ミステリ作家の島田荘司と笠井潔が、「日本型悪平等」の問題を、日本の歴史をさかのぼりながら論じた対談を収録しています。

両者ともかなり内容の濃い発言を交わしていますが、対談らしいアドリブや思いがけない論の展開などは見られず、一つひとつの論点を両者が交互に提出する、対論形式と呼べるような構成になっています。

弥生時代に始まるコメ作りから始まり、『葉隠』の精神、近代以降の富国強兵政策について語られ、日本の相互監視システムと呼べるような社会がどのようにしてつくられてきたのかということが論じられています。ただ、結論ありきの議論になっているような印象も受けました。

それ以上によくわからなかったのは、どうしてこの二人がこうしたテーマを語らなければならないのかということです。それでも笠井のばあいは、観念の支配形態をテーマにした評論『テロルの現象学』（ちくま学芸文庫）などの著書もあり、日本型の観念の支配形態を問題にしようとしているのだろうかという気もするのですが、島田がどのような関心から本書で論じられているようなテーマにアプローチしているのか、どうにもよく見通しが得られないように感じて、その発言の真意をいま一つつかみきれないでいます。