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天狗争乱 朝日文庫
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天狗争乱 朝日文庫

吉村昭(著者)

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天狗争乱 朝日文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日新聞社/
発売年月日 1999/11/01
JAN 9784022642097

天狗争乱

¥550

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2013/11/01

朝井まかて著の「恋歌」で、水戸天狗党のことが出て来て興味を覚えたので、読んでみた。 「恋歌」では、藤田東湖の息子小四郎が天狗党を率いて出奔して以降は、伝え聞いた以上の天狗党の顛末を書いていなかった。この本をよんで、かなり複雑な様相を呈したのだということが初めて分かった。 作品...

朝井まかて著の「恋歌」で、水戸天狗党のことが出て来て興味を覚えたので、読んでみた。 「恋歌」では、藤田東湖の息子小四郎が天狗党を率いて出奔して以降は、伝え聞いた以上の天狗党の顛末を書いていなかった。この本をよんで、かなり複雑な様相を呈したのだということが初めて分かった。 作品は、突然天狗党の日光からの山下りから始まる。激派と言われる天狗党の中でも若衆ばかりの過激派田中げん蔵の栃木町焼き打ち事件から一挙に物語を始めるためであったからだろう。あとは淡々と吉村昭らしく事実を組み立てて、この幕末悲劇物語を構成していた。 水戸尊皇攘夷派の中には、藤田小四郎たちのの激派、榊原新左衛門たちの鎮派、そして田中たちの過激派に分かれていた。そして、その思想と決定的に意をことにする門閥派が、幕末瓦解の危機にあった水戸藩最終段階で顕然化する。 残念なことに、この詳細な天狗党始末記を読んだあとでも、水戸尊皇攘夷運動とは何だったのか。尊皇思想のメッカである水戸が、なぜ明治維新「革命」の中で役割を果たすことができなかったのか。全然わからなかった。その意味では、「恋歌」の方がよっぽどすんなり心に落ちた。 水戸天狗党の最初の目的は、幕府に横浜港閉鎖をふくむ攘夷決行を促すことにあったという。それを一師団ともいえる軍勢で、力づくで成そうとしたらしい。その最初の発想自体に、私はついていけない。その背後にどういう戦略構想があったのか、この作品では全然明らかにしていないからである。その「理想」のために武力を背景とした脅しで商人から何百両何万両という軍資金を獲る。過激派田中のように無法を働くか働かないかの違いはあるが、藤田小四郎たちもやっていることは同じ、だと私には思えた。 田中の顛末は、70年代の過激派を見るようで、これだけを取り出して映画化すれば面白い。 幕府や一橋慶喜のマヌーバーぶりに辟易した。いつの時代でも出てくる「政治家の苦渋の決断」(そう言えば、安倍という人も消費税増税の時にそう言った)をするのである。 力作なだけに、もう一歩突っ込んで描いて欲しかった。 2013年10月6日読了

Posted by ブクログ

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