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リヴァイアサン
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1999/12/25 |
JAN | 9784105217051 |
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リヴァイアサン
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商品レビュー
3.5
9件のお客様レビュー
死亡記事から始まる物語は、決して月並みなミステリー小説では無い。 語り手であるピーター・エアロンが、物語の主題であるベンジャミン・サックスについて、過去に知っていること、聞いたことを、事件が自分に近づいてきたときに備えて、急いでまとめたものといった、視点の固定がなされたうえで、...
死亡記事から始まる物語は、決して月並みなミステリー小説では無い。 語り手であるピーター・エアロンが、物語の主題であるベンジャミン・サックスについて、過去に知っていること、聞いたことを、事件が自分に近づいてきたときに備えて、急いでまとめたものといった、視点の固定がなされたうえで、物語が進む。 時代は1980年代。レーガン大統領が当選し「強いアメリカ」の時代、ピーターもベンも衰退するリベラル系の物書きで、社会からの疎外感と貧困の中、「民主主義の危機」と叫んでいるが、社会問題を主題とした物語では無い。 ピーターとベンの出会い、ベンの妻ファニーの苦悩とピーターとの不倫、芸術家マリア・ターナーのこと、パーティーでの墜落事故、森で起こった発砲事件 「普通」とは決して言い難いことの、論理的な説明ではなく、「愛情、疑心、贖罪、葛藤」といった「心」の変化と、実際に現れる「言葉」の微妙な誤差、その後の「行動」との因果が、怒涛の如く迫りくる。 自由の女神像と墜落 パーティーの夜の出来事とその結果は… 森の発砲事件とその結果は… ピーターによれば「偶然の一つ一つの邂逅が、ベンの最期を必然とした」と…。 読み進めるにつれ、滔々と揺れて流れる心を味わう。 冷めた目で見れば、出てくる人はみんな「ウジウジして身勝手で面倒くさい人たち」です。 そこを楽しんで下さい。
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本のあらすじを読むとサスペンスや犯罪心理ものなかと思いき、よりもっとある人間の個性や、生き方というのがクローズアップ。語り部とその語られる人物両方の。 どちらかというと友情物語のような?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『幽霊たち』他ニューヨーク三部作で知られるオースターの1992年の作品。 オースターの作風を時間軸で追っていくと、初期は完全に現実感の希薄なメタ世界で、その後段々と現実感が濃くなってくる。個人的にはメタな構造と乾いた文体が、きちんと現実の世界に降り立っている時の作品が好きである。簡単に言えば、メタと現実のバランスがいい時の作品が好きだ。『ムーン・パレス』とか『ミスター・ヴァーティゴ』とか。 さて本作である。オースターと政治とはなかなか結びつかない。リヴァイアサンとは国家を象徴する言葉だし、自由の女神のレプリカを破壊して回る登場人物は確かに政治的である。しかしオースターが政治に足を踏み入れたかというと、そうはいいきれない。ある瞬間をきっかけに、登場人物は自由の女神を破壊する爆弾犯になる。しかし、それが、その瞬間の感覚だけが、登場人物を爆弾犯に変貌させたのである。政治的な動機というものは、見当たらない。 オースターは、偶然や共時的な出来事を重視し、それを「運命」として組み込むという思考の持ち主のように思える。この小説における偶然とは、パーティーで階段から落下するという、事故である。しかし登場人物はその偶発的事故を「運命」ととらえる。そして悟ったように変貌し、爆弾犯として生まれ変わろうとする。彼は偶然と運命を重視しており、政治と論理は受け入れていない。ゆえにこの小説は、政治小説とは言えない。 ただ、次の文章には興味を惹く。 「アメリカの国旗というのは多分にイデオロギーで血塗られていて、この旗の下に偽善的な悪の行いも行われてきたことはアメリカ市民にとっても理解するところであって、多くの人々がこの旗に基づく理念というものに批判してきた。 しかし自由の女神が象徴する理念(自由、平和、法のもとにおける平等)というものを、少なくても表立って批判するというアメリカ人はかつていなかった。たとえアメリカが実際にはこれに全く反する歴史を歩んできたとしてもだ」。 オースターはユダヤ系ではあるがアメリカの知識人である。アメリカには、こういった自国に対するバランス感覚を持っている知識人は多いのである。なのにどうして、アメリカはああなってしまったのだろう。
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