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レーモン・アロン回想録(1) 政治の誘惑
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レーモン・アロン回想録(1) 政治の誘惑

レーモン・アロン(著者), 三保元(訳者)

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レーモン・アロン回想録(1) 政治の誘惑

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 1999/02/25
JAN 9784622038030

レーモン・アロン回想録(1)

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2023/12/30

マルクス主義を「知識人の阿片」と喝破した反共の闘士、サルトルに現象学を教え、サルトルとは正反対の方向から歴史と人間の弁証法を問い続けた歴史哲学者、冷徹な現実分析の一方で理性への信頼を手放さず、外交政策ではド・ゴールやキッシンジャーにも一目置かれた行動するジャーナリスト・・・レーモ...

マルクス主義を「知識人の阿片」と喝破した反共の闘士、サルトルに現象学を教え、サルトルとは正反対の方向から歴史と人間の弁証法を問い続けた歴史哲学者、冷徹な現実分析の一方で理性への信頼を手放さず、外交政策ではド・ゴールやキッシンジャーにも一目置かれた行動するジャーナリスト・・・レーモン・アロンは様々な顔を持つ破格のスケールの知識人だが、日本では意外に知られていない。本書はドイツとの和解、東西対立と核戦略、アルジェリア紛争、五月革命、ユダヤ人問題、西欧の衰退など、20世紀フランスを二分した大テーマに最前線で関わり続けたアロン自身によるアロンの解説である。回想録というものは往々にして功成り名遂げた偉人の自画自賛か読者の覗き見趣味に媚びるだけのものになりがちで、本書もその弊害から100%自由とは言えないが、フランス最高の知性アロンの目を通して現代フランス史を振り返るのは希有な体験だ。本物の知識人とはどんなものかが身に滲みる。 アロンはパリ高等師範学校で学び、アグレガシオン(教授資格試験)に首席で合格というフランスアカデミズムのエリート中のエリートだが、その知的バックグラウンドはむしろ留学したドイツにある。自然科学的な因果法則の定立を範とするデュルケムの「社会学主義」に飽き足らず、作られつつある歴史の中で行為する人間の動機と意味の解明を企図するウェーバーに共感するアロンには、歴史に規定されながらも、歴史を作るのは人間であり(ただし思うようにではなく)、学問や知識はその為にあるという強い信念と責任感があったように思える。ウェーバーが責任倫理と心情倫理を峻別し、ひ弱な観念左翼を痛罵したように、アロンは実存主義的なアジテーションに酔う五月革命の学生反乱を一刀両断する。書名にもなった「Le spectateur engagé」(=「参加する観客」意訳すると「政治参加する観察者」)という言葉も、アカデミズムとジャーナリズムを股に架け、冷たい目で現実を見据えながらも、傍観者でなく当事者として、実現可能な未来を手繰り寄せるために熱く語るアロンの知識人像を示すものだろう。 評者は学生時代、高坂正堯を通じてアロンを知ったが、その高坂は国際関係を論じたアロンの著書について「ヨーロッパで積み重ねられて来た豊かな学識に基づく、平凡な智恵のすすめである」と言っていた。新奇で難解な思想ばかりを有り難がる日本の知的風土(おそらくフランスも)の中にあって、平凡な智恵の大切さを教えられた。高坂もアロンと同じように「平凡な智恵」でアカデミズムとジャーナリズムを架橋する仕事をした。その「平凡な智恵」の奥に、非凡な学識と教養、そして人間への深い愛情があることを知るためにも、アロンはもっと読まれていいと思う。

Posted by ブクログ

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