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辻
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2006/01/25 |
JAN | 9784103192077 |
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辻
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
正直最初はちんぷんかんぷんだった。 でも次第に文章にも慣れて、最後は軽く感動した。 たまにはこういう重厚で難解な文章を読んでいないと、読む力が衰えるもんだなぁと実感した。
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12の短編が、最初は 辻 を繋がりにして、話自体も繋がるのかと思っていたが、ああなんだ、繋がりが途切れた・・かと思えば、少しづつ形を変え深く掘ったり浅く掘り足したり・・・ 物語同士、奇妙なずれがあるので執拗さを感じさせず、意味のとれない文に行きつ戻りつするためか、物語の進み具合ま...
12の短編が、最初は 辻 を繋がりにして、話自体も繋がるのかと思っていたが、ああなんだ、繋がりが途切れた・・かと思えば、少しづつ形を変え深く掘ったり浅く掘り足したり・・・ 物語同士、奇妙なずれがあるので執拗さを感じさせず、意味のとれない文に行きつ戻りつするためか、物語の進み具合まで奇妙さを帯びる。 老いた先の、正常さの中の静かな狂気は、徐々に大きくなる。それを繰り返す。 男女の交わりは畳の上に敷かれた薄い敷布団の中で、何度も過去と先を繰り返す。 不可思議な記憶をも繰り返し、しまいには一体誰がどうなのかあやふやになってしまう。 それらは 不安 という感覚をもたらす。 しかしいつのまにか、その不安感に包まれるのが心地よくなってくる・・・ これは、中毒のうちに入るだろうか。 なぜこの作家の本を読まずにきたのだろう。 顔も名前もよく知っていたのに。 濃くて時間のかかる、片手間では読めない話を書く小説家。 次は何を選ぼうか、選集も出ているらしいが。
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『文藝』の2012年夏号に古井さんのインタビューが載っていて、その中の『辻』が「自身にとって大きい作品」と言及する古井さんの言葉を目にして読んだ。もともと何年か前に半分ぐらいまで読んでいて、いろいろあってそのままになっていたので、最初の短編から読み直した。 枕として置かれている...
『文藝』の2012年夏号に古井さんのインタビューが載っていて、その中の『辻』が「自身にとって大きい作品」と言及する古井さんの言葉を目にして読んだ。もともと何年か前に半分ぐらいまで読んでいて、いろいろあってそのままになっていたので、最初の短編から読み直した。 枕として置かれている「辻」の初めの3ページを何度も何度も繰り返し読んだ。古井さんの「辻」のイメージが凝縮されている気がした。日をまたがって続きを読む時は、初めの文章へ立ち戻って『辻』の世界に入り込んでから、読み進めるということをした。 「辻」は様々なものが交差する場所であると思われる。そこへ行き交う人の情念。今、この世にいない人の想いすらそこに現われるような場所。そして「場所」といいながら、そこには過去と現在に渡る時間の感覚も出てくる。「空間」と「時間」は並の人間なら分けて考えないととても扱えないのではないだろうか。古井さんはそれを一緒に扱う、ということをやっているように私には思える。そして、本来、文学に役割のようなものがあるのだと仮にしたら、まさにこういう感覚を描出することがその一つではないだろうか、と思いさえする。ここで書かれる「辻」のイメージはとうてい他の表現ジャンルではできないものではないだろうか。言葉に徹底的に向かい合い、最近読んだ大江健三郎さん風に言えば、それをすることで「自身の言葉を鍛えてきた」古井さんという存在はやはり希有だと思う。 「時間」と「空間」のことを言ったが「性」のことも古井作品には出てくる。あと「生死」も。それが「空間」とか「時間」といったものに歪みを与えたりする。古井作品について何か言おうとすると話がどうしても抽象的になってしまう。そこには様々なものが書き込まれているからではないか、と思う。だから何かを言っても、何にも言っていないような徒労感に襲われることもある。それでも昔読んだよりは少し何かわかるようなところもあるようで、そのことはなんだか興味深い。長い期間をかけて付き合っていきたい作家である。
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