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自閉症者からの紹介状 色と形と言葉に映した私の世界
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 明石書店/ |
発売年月日 | 2006/01/15 |
JAN | 9784750322469 |
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自閉症者からの紹介状
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著者の月文瞭氏は、「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」の 両方の特性を持っている当事者です。 著者がこの作品を「描き始めた」きっかけは、 「身近な人々に自分の症状を説明するため」だったとのこと。 この作品の最初の姿は、 「カラーコピーに製本テープで仕上げられた著者製本版」...
著者の月文瞭氏は、「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」の 両方の特性を持っている当事者です。 著者がこの作品を「描き始めた」きっかけは、 「身近な人々に自分の症状を説明するため」だったとのこと。 この作品の最初の姿は、 「カラーコピーに製本テープで仕上げられた著者製本版」でした。 それを見た安達潤氏は、「その色彩の世界に圧倒された」といいます。 安達氏の言葉も本の帯にも、本でも絵本でもなく、 「詩画集」という表現が使われています。 自分で説明しては言葉が空回りしてしまうし、 文字の並んだものをほとんど関心のない人に 読んでもらうのは難しいと感じた月文氏は、 「文字をなるべく減らし、その分を絵で補うという形」で 描き始めました。 作品は、左にテキスト、右に絵が書かれています。 テキストは、メールやブログなどの電子媒体に書かれるのと同じ法則で、 段落落ちではなく、適度に改行を入れる形で書かれています。 絵は、線を描くところは、色鉛筆で優美に細やかに丁寧に。 ぼかしの背景や全景も優しい色使いです。 象徴的なテキストと絵で、自閉症の世界が紹介されていきます。 カードゲームで、 4種類のマークが バランスよく上を向いているのが 「あなた達の世界」 ダイヤばっかり上を向いていて、 他のマークは見えないから試行錯誤するしかないのが 「私の世界」 といった具合です。 ヒントがたくさん出ていて テキストから類推するのが簡単なのが 「あなた達の世界」 ヒントが少なすぎてわからないのが 「私の世界」 ヒントが少なすぎるからこの2枚を手放すわけには行かない。 つまり、これが「こだわり」になるというわけです。 こうやって、要約してしまうと ちょっと冷たい感じに見えてしまうのですが、 本文は両者の世界を比較しながらも 冷たさがないという不思議な世界です。 象徴的な説明だけではなく、 一般的な説明もきちんと織り交ぜられています。 育て方のせいでなることはなく、生まれつきの脳の機能障害であること、 自閉症に途中で「なる」こともなければ、「治る」こともないということ、 知的な障害のないものを「高機能自閉症」、 幼少時から、言葉にも知的にも障害がないものを 「アスペルガー症候群」ということ、 今のところこの2つに厳密な区別はされていないこと。 雑音の多い場所に行ったときに聞きたい音のみを聞き取れない、 不必要な音を下げられない感じを、 あることをして見れば疑似体験できると 教えてくれたりもします。 全体よりも部分に見とれることが多いこと、 予定の変更が苦手なこと、 こだわりがあること、 機械的な記憶が得意なこと、 自分と人との距離感がわからないから、 失礼がないように誰に対しても 丁寧な言葉遣いをしていること・・・などなど。 自閉症者の特徴といわれているものが教科書を読むよりも、 すっと入ってきます。 安達氏の解説にあるように、 「月文さんが「月文さんの世界」を持ちつつ「私たちの世界」で 生きていくことの困難さだけでなく、 その世界のすばらしさを知ること」が 大切です。 全体よりも部分を見てしまうけれども、 だからこそ部分の存在感を知っている というように。 もうひとりの解説者である長沼睦雄氏は、 「私たちが容易にできる、「思いやり」などの情緒的言葉を 理解したり言語的に説明したりすることは苦手であり、 具体的な行動のイメージの方が理解や表現しやすい」とし、 「月文さんのイメージには情動が伴いにくいようだ」 と説明しています。 でも、だからこそ、彼の願いを書いたテキストには、 強く引き込まれました。 これは、本文の最後の見開きの1つ前の見開きです。 ここに彼の思いがあります。 他のページよりも鮮やかに描かれた絵とたったワンセンテンスの言葉。 これが、この本のキラー・センテンスだと思うので、 とっても引用したいのですが、 これは手にとって確かめていただきたいので、ここには書きません。 「人が自分を見たとき、 大勢の中の一異星人に見るかもしれませんが、 私にとっては家族を含め まわりの人ほとんどが違和感を感じる異星人なのです。」 と感じる著者にとって、 これは本当に真摯な願いです。 そして、きっと、それは、誰もが願う願いなのです。 同じ場所にいながら、自閉症者が見ている世界と 非自閉症者が見ている世界は、確かに違うのかもしれません。 だけど、やっぱり同じ場所にいるのだと、私は思いました。
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