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夢みる宝石 ハヤカワ文庫SF
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2006/02/15 |
JAN | 9784150115487 |
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夢みる宝石
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夢みる宝石
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商品レビュー
3.7
26件のお客様レビュー
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みなしごのホーティは、里親から指を切断される虐待を受け、大切にしているぬいぐるみを抱いて里親の元から逃げ出す。ホーティがたどり着いた先は、”人喰い”と渾名される謎の男モネートルが率いるサーカス団だった。障害を持ちながらも助け合って生きるサーカス団の仲間たちに支えられながら、女の子に化けてサーカス団の一員となって活躍するホーティ。しかし、モネートルが邪悪な野望を抱いて暗躍していることに気づいたホーティと仲間たち、そしてかつてホーティと仲が良かったケイは、その野望に巻き込まれながら、それを阻止しようと闘いを始める・・・ 優しくて、残酷で、凛として、猥雑な物語。 コミュニケーションが困難な異星体「宝石」を主軸にストーリーが展開する構造は、レム「ソラリス」と同様のSF的想像力を感じます。でも、SFかと言われると必ずしもそうとは言い切れず、ファンタジーとも、あるいはホラーとも言える、なんとも一言でまとめ難い作風です。 だからこそ、スタージョンの代表作たり得ているのだと、鴨は思います。 【以下、ネタバレ注意!】 遠い昔より地球に降り立ってきた「宝石」は、なんらかの意識を有しており、「夢見る」ことにより、地球上の生物にさまざまな影響を及ぼし、動植物を一から生成することさえある。しかし、なぜそうするのか・そうなるのかは、誰にもわからない。 宝石が単体で夢見て生成した生物はどこかしら欠けていることが多く、サーカス団に所属する障害者の大半は、そうした「宝石人」でした。一方、ホーティは2つの宝石により生成された「宝石人」であり、五体満足であることに加え、自らの姿形を意思の力で自在に変えられる能力を有していたのです。里親から切断された指が自然に元に戻っていくことに気づいたホーティと、彼を一人の人間として教育しつつ密かに愛する小人症のジーナ(彼女も実は宝石人であることがのちに判明)は、宝石を集めて巨大な力を得んと悪逆の限りを尽くすモネートルと戦うことを決意。元里親の悪の手が伸ばされていたケイを助け出すことに成功し、大きな犠牲を払いながらもモネートルとの闘いに勝利した二人は、宝石人同士で生きていくことを選択し、姿を消します。 自分が他の人とは明らかに異なる存在であることに気づき、悩みながらも、ジーナと仲間たちに支えられて一人の”人間”として成長していくホーティ。 見た目は10歳そこそこの少女でありながら、内面は成熟した聡明な女性であり、ホーティを救うために命を賭けて共に闘うジーナ。 最終的に「宝石を自己の意思で動かす能力」まで手に入れたホーティが選んだのは、サーカス団を捨ててジーナと共にひっそりと隠棲する道でした。 ずっと闘い続けてきたホーティにとって、それは穏やかに暮らすための唯一の選択肢なのでしょう。でも、鴨はこのラストシーンに、どうしようもない無力感を覚えてしまうのです。世界中に同じような宝石人が存在し、自分の存在に悩んでいるであろうことが容易に想像できる状況下、ホーティとジーナには、もっとできることがあるのではないか、と。 鴨がそう感じてしまうのは、他でもなく鴨自身が「宝石人ではない」から、単なる第三者だから、という自覚があります。 昨今流行りの「ダイバーシティ」問題にも通じる、そんな観点から読むと、深い問題意識を感じる作品です。 でも、スタージョンの筆致は常に軽やかで、サーカス団という舞台設定も相まって、それこそ宝石箱をひっくり返したかのようなカラフルさと賑やかさ、そして一抹の切なさを感じる作品でもあります。読む人によって、この作品から受け取るものはきっと人それぞれ違うのだろうな、と鴨は思います。
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おもしろかった…と思う。 難しいところは読み流してしまったから、完全にこの本を読破したとは全く思えないけど、難しさに反してお話の流れは興味深くてするする読めた。
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人間とは全く違う価値観を持つ一つの生命として「宝石」という種が存在しており、それぞれ孤独でありながらも、かと言って排他的ではない関係性を持ち、さらには対になり、時折夢を見てはそれを現実世界に不完全なまま模倣する。宝石と人間、そして宝石に作られた疑似的な人間の3つの存在を通して繰り広げられる人間模様、、といったように個性的過ぎる世界観を放つ作品。難解な設定の割には意外にもサクサク読み進めることができた。人でないながらも、人類のため、もといホーティの為に命をかけて奔走したジーナや、ひとりの弟のために自己犠牲し続けたケイ。一方で人間に深い怒りと憎しみを抱く人喰いや傲慢で醜いブルーイットなど、思考する存在の美しさと醜さを感じることができた。
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