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完本大江戸料理帖 とんぼの本
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完本大江戸料理帖 とんぼの本

福田浩(著者), 松藤庄平(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2006/03/25
JAN 9784106021404

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2012/06/21

花のお江戸では、どんな食べものがあったのか、江戸前料理の料理人に実際に調理してもらった本。 江戸ものの本を読んでいると、よく食事のシーンが登場するため、実際にカラー写真で料理紹介してもらえると、当時の食事情が想像しやすくなります。 まずは春の膳に乗っていた「花見重」の美しさ、華...

花のお江戸では、どんな食べものがあったのか、江戸前料理の料理人に実際に調理してもらった本。 江戸ものの本を読んでいると、よく食事のシーンが登場するため、実際にカラー写真で料理紹介してもらえると、当時の食事情が想像しやすくなります。 まずは春の膳に乗っていた「花見重」の美しさ、華やかさに驚きました。 さよりやひらめ、小鯛鮨などが五段重いっぱいに詰められており、おせちのように豪華で大量です。 20-30人分は賄えるため、長屋の御一行様の花見にちょうどいいとのこと。 『料理早指南』には、重箱の詰め方や並べ方までも丁寧に図示されていました。 段ごとに配置を変え、同じ形に並べないなど。 赤いものは重箱の真ん中に置くようにと記されています。 内側が赤い塗りの重箱に埋もれないようにとのこと。 「精進鮑」は見た目は鮑そっくりですが、実は松茸を鮑の蒸し物のように調理したもの。 松茸が身近な頃の料理です。 鮑は当時から高級品でしたが、松茸が高騰したのはここ何十年の間なので、今では本物の鮑よりも高くつく 東京オリンピックの前頃までは、松茸は一杯飲み屋でも肴に出てきたと書かれていましたが、実感がわきませんでした。 「利休卵」は、『万宝料理秘密箱』というなんとも気持ちをそそられるタイトルの本に載っているレシピ。 チーズケーキムースのようでおいしそうですが、そこには刺身の代わりにと書かれていました。 デザートではなくおかず感覚なのでしょう。 天平時代から卵は獣肉と共に禁忌の一つとされてきた 室町末期に南蛮貿易が始まったのを機に卵を食べる習慣が浸透したとのこと。 「利休」とありますが、別に千利休が好きだった料理というわけではないとのこと。 彼が好んだ信楽焼や伊賀焼の器は、器がブツブツしていることから、料理に載ったゴマを連想しての命名だそうです。 利休揚げ、利休焼きなど、利休の名を関する料理には、ほとんど胡麻が使われるのだとか。 利休鼠という色も存在します。 このように使われていると本人が知ったら、びっくりするでしょう。 「玉子焼」のページでは、関東の厚焼き玉子焼は関西の薄味のだし巻玉子とは違うと明記されていました。 厚焼き玉子は、調味料を相当入れるため濃厚で、だし巻玉子とはまったく別の料理と考えるべきだそうです。 だし巻は温かいうち、厚焼き玉子は冷めてからの方が味がなじんで美味しいとのこと。 心得ておきます。 厚さ5センチほどもある厚焼き玉子は、見ているだけでも食欲が湧いてきそう。 熟練の技が必要で、毎日焼いていないとうまく焼けなくなるのだとか。 「麩の焼き」という聞き慣れない料理もありました。 これは味噌を巻いた和風クレープのようなもので、千利休が好んで茶会で使ったそうです。 クレープよりもこちらの方が古いとか。  食べてみたいものです。 「くわいきんとん」も、食べたことがありません。 金団の中で一番高級なのがくわいであり、よほど高級な料理店以外では今は作らないのだとか。 さつま芋よりさっぱりして上品な味だというので、いつか食べてみたいものです。 「華豆腐」は、オニオンフライのような盛りつけの、大輪の菊の花にたとえられる美しさ。 崩れてしまわないのが不思議です。 江戸期の料理本には、今の至れり尽くせりのクッキングブックとは違い、事細かく分量や切り方など調理方法が書かれていない、とてもアバウトなものだとか。 料理人向けの内容なので、知っていて当然のことは省略されたのでしょう。 今はもうなじみのないものも多々ありましたが、江戸の料理は思ったよりもバリエーション豊かで彩りも華やか。 夜越しの金を持たない江戸っ子たちは、きっとキップよく当時の食を楽しんだことでしょう。 当時のメニューを出す江戸料理店があってもいいのではと思いますが、やはり食材揃えがたいへんかもしれません。 詳細レシピ付きで紹介されていた料理は40品。 日本料理の芸術的美しさ、その応用力に見入りました。

Posted by ブクログ

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