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詩歌の待ち伏せ(2) 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2006/03/09 |
JAN | 9784167586034 |
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詩歌の待ち伏せ(2)
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『詩歌の待ち伏せ 2』 北村薫 (文春文庫) 2001年から2003年にかけて「オール読物」に連載されていた文章をまとめたものである。 やっぱり今回も凄かった。 前回はチャンドラーが引用したアロオクールの詩について、リライトの魅力が語られていたが(今回アロオクールの後日談あり)、今回は「三国志」である。 「三国志」に引かれている土井晩翠の「星落秋風五丈原(ほしおつしゅうふうごじょうげん)」についてのさまざまな考察が、膨大な資料をもとに語られていた。 難しいといえば難しいが、知れば知るほどどんどんハマっていき、数珠つなぎに謎が謎を呼び、次々といろんな場所に連れて行かれ、著者とともにミステリーの謎解きをしているような気分になれるのが本当に楽しくて、読むのを途中でやめられなくなってしまう。 さすがミステリー作家! さて、今回いいなぁと思ったのは、「大川宣純」と「谷中安規」である。 どちらも、今まで作者も作品も私は全く知らなかった。 大川宣純は高知の詩人である。 最初に北村さんが“待ち伏せ”に逢ったのは、方言詩「てんごう」。 そこから原典を紐解くに至るのだが、「簡単に原典といいましたが、実はそこにたどり着くまでが大変でした」と北村さんが言うほど、こんな場所で取り上げられなければ、誰の目にも触れず、歴史のひだに埋もれ沈んでいたような詩人なのだ。 社会からドロップアウトしたアウトロー。 けれど、ピュアな恋の詩を書く純粋な人だった。 詩集の巻末に収められている、大川の友人、大崎二郎氏の回想が感動。 北村さんの言葉を借りれば、まさに「書かなければ跡形もなく消えた一瞬」を、原典を読むことのできない私たちに紹介してくれた北村さんに感謝したい。 谷中安規は版画家であり歌人である。 タニナカ・ヤスノリと読むが、彼を愛する人々は親しみを込めてアンキさんと呼んでいたそうだ。 そんな小さなエピソードからも、皆に愛された歌人の人となりが伝わってくるようだ。 安規さんは子供好きで優しい人だったけれども、短歌の中には時々、異様に暗い色合いを帯びた歌が混じっていた。 なぜかそこには必ず“犬”が登場する。 犬は泥に汚れていたり、刀を喉に突き立てて死んでいたりする。 その犬は安規さん自身の姿であり、彼の心象風景でもある。 「普通の生活と獣族としての飛翔の間で思いの行きつ戻りつする様が安規さんの心の揺れを素直に見せています。」と北村さんは書いている。 紙の虎にまたがって空を飛び、知り合いの小さな男の子のところへ遊びに行こうとする安規さんと、犬となって刀を自分の喉に突き立てる安規さん。 そのどちらも安規さんである。 確かに理解はしづらいが、人の心の中を開いてそのまま見たような、痛みをともなう感覚に震えた。 最後の章の、病床の歌人「中城ふみ子」と、彼女を見出した「中井英夫」との書簡のやり取りも凄かったなぁ。 中井の使う封筒が、出版社の社名が入ったものから個人のものに変わっていくところがドキドキした。 一番最後の手紙で中井は、差出人の欄に会社ではなく自宅の住所を書くが、それを受け取ることなく中城ふみ子は帰らぬ人となるのである。 北村さんはすごい。 博覧強記というだけでなく、言葉そのものを愛してやまない人なのだなぁ。 旧仮名遣いの文語詩や短歌だって、一人だったら読む気がしないが、こんな言葉の達人がナビゲーターなら、読みづらさも気にならない。 しかも、(当たり前だけど)文法にもやたら詳しい。 北村さんが、中井英夫の本に対して、「掌の上にのる文庫版でありながら、千鈞(せんきん)の重みを持つ本です。」と評しているが、この本だってそうやん、と思った。 物質の価値としては何百円の紙の束だが、中身に値段はつけられない。 それを書いた人の心を思うと、まるで宝のかたまりのように見える。 北村さんの文章には、そんな読むことへの気持ちを原点に戻してくれる不思議な魔法がかかっているのだ。
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お話、ストーリーを追いかけるのが好きで本を読み出しました。ですから、文体や表現をじっくり味わう、という読み方はあまり好きではありませんでした。 読むものの幅が広がるにつれ、そんな読み方とは別の読み方も楽しめるようになったのですが…でも、例えば北村薫が自分の高校の時の現代国語の先生...
お話、ストーリーを追いかけるのが好きで本を読み出しました。ですから、文体や表現をじっくり味わう、という読み方はあまり好きではありませんでした。 読むものの幅が広がるにつれ、そんな読み方とは別の読み方も楽しめるようになったのですが…でも、例えば北村薫が自分の高校の時の現代国語の先生だったら、もっともっと早く詩歌や文学史を楽しめるようになっていたのではないか、と思うのです。 意味が取れない部分が多くても、「てんごう」の力を感じ、これまで全く関心が持てなかった「書簡文学」について、封筒や書簡の住所などという視点を教わって、これでまた楽しんで読めるものの幅が広がりました。自分にとっての「その素晴らしさを教え導いてくれる、特別な案内人」北村先生には教わることばかりです。
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大切に取っておいたシリーズの2冊目。 この巻でも北村さんの語りは素晴らしく、しなやかに、丁寧に、それでいて深く、「読む」ことの意味と幸運を感じさせてくれる。 一つの詩のたった一文から次から次へと謎が繋がり、一つのミステリーのようになっていく話もあれば、たった一文字の違いでこうも...
大切に取っておいたシリーズの2冊目。 この巻でも北村さんの語りは素晴らしく、しなやかに、丁寧に、それでいて深く、「読む」ことの意味と幸運を感じさせてくれる。 一つの詩のたった一文から次から次へと謎が繋がり、一つのミステリーのようになっていく話もあれば、たった一文字の違いでこうも受け取り方が変わるのか、という話もあり…… 人間が生き物である限り、その人間が生み出した言葉も生き物なのだ、ということ。それが多くの人の手を、あるいは記憶を、あるいは出会いを渡ることで、自然と変化していく。その過程を丹念に「たどる」ことは可能なのだ(!)ということ。 最後の中井英夫と中城ふみ子の書簡には、文字による言葉にならない時間が込められているのを感じた。 私は他の本でこの二人の関係のことを書いた文章を読んでおり、そちらではこの二人の関係は、この本で書かれているような「きれいな」ものだけではない、という印象を受けた。しかし、ここで北村さんにより拾い上げられたその「書かれた」言葉もまた、この二人が交わした事実の一部なのだ。そして、それを拾い上げる人の手によれば、この「書かれた」文字がなんと輝くことか! なるほど、文章は生き物。受け取り手次第で死にもすれば、生きもする。
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