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中国農民調査
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2005/11/15 |
JAN | 9784163677200 |
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商品レビュー
4
6件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1990年代から2000年初頭にわたっての中国の農業政策・地方制度の暗部・改革・その挫折や進展について述べたもの。後に中国内で発禁処分となり、海賊版やコピーで情報が流布したとある。内容自体、政権批判の書とまではいえないので、この程度で発禁処分となるのだ、という気持ちで読み進めた。内容は、地方の官僚組織の腐敗→具体的な改革(税負担の簡素化と軽減)→地方財政の枯渇と義務教育その他公共的な役割の未達→地方公共団体(県・鎮・村)の人員整理等行財政改革の必要性とその困難という流れで書かれてある。 官僚の人員削減や整理は、行財政改革の困難性はどこの国でも同じだということの好例。中国の特殊性は、①司法制度の機能不全、②地方の官僚組織が元々は破綻した国営企業の人員吸収にて肥大化した点、③制度的に都市と農村の格差が予定されている点(ただし、地域間格差は日本にも存在する)というところだろうか。
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中国の農業問題を真正面からとらえた衝撃作だ。中国の農業問題とは構造的な農業の貧困の問題だ。これは中国の農業の生産性が低くて貧困になるということではない。農家が必然的に搾取されるような社会的構造がこの国に根をおろしている。おそらくは延々3000年かけてこうなったのではなかろうか。 ...
中国の農業問題を真正面からとらえた衝撃作だ。中国の農業問題とは構造的な農業の貧困の問題だ。これは中国の農業の生産性が低くて貧困になるということではない。農家が必然的に搾取されるような社会的構造がこの国に根をおろしている。おそらくは延々3000年かけてこうなったのではなかろうか。 人間は元来生産など行わない。自然から搾取するのみであった。農業はこの数千年間その最前線にあった。文明が高度化するにつれてこの農業自体が搾取の対象になってきた。権力の側から見ると農家は人間ではなくいくらでも搾取出来る自然の一部に組み入れられてきたのだなと思う。王朝が入れ替わり政権が代替わりしても、多分末端の収奪構造はこのように維持されてきたのだろう。 共産党が政権をとって50数年たってもそういった構造が大して代わっていないところが中国のすごいところだ。もちろんこの本ではこんな事には何も触れていない。どうしようもない現実と、それに立ち向かう人々の存在、農業問題改善への実に一進一退の顛末。スイスイ事が運んでいくと思ったら突然ご破算になることが当たり前のように起きる。これだけやっても中々前に進んでいないというもどかしさは読んでいてつらくなる。中国がいま大変つらい道のりを歩んでいる事は確かだ。
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中国の農民が置かれた状況を克明に記したルポタージュ。登場するすべての人物が、政治家であろうと地方役人であろうと個人であろうと関係なく、すべて実名で出てきているというところが凄い。中国という国・社会の状況を考えると、そうすることによるリスクは計り知れないと思います。 構成としては大きく二つに分けられます。前半には自分たちの当然の権利を主張したために逮捕・拷問されたり、果ては殺されてしまった無辜の農民の姿が報じられています。そういった事件が起きたのはほんの十数年前。現代において実際に起きたことであるとは思えないぐらいの壮絶な記録であり、権力を笠に着た悪党がいかに横暴かつ残酷であるかをまざまざと見せつけられます。 そして後半は、そのように虐げられてきた農民たちが自分たちの権利を獲得するための長い戦い、特に税金を納める方法についての改革に多くのページが割かれています。遅々として進まず、時に後退や頓挫の危機に直面しながら、少しずつ中国という大きな世界の政治の流れが変わっていく様子は非常に読みごたえがあります。 この本の中で紹介されている毛沢東の言葉、「中国のことは急いではいけない。何事もゆっくりやるべきだ」というのは至言だと思いました。急激にやろうと思うと既得権益層の反発を招き、迫害や冤罪、死をも免れないかもしれないというのが中国なのでしょう。そういった国で自分と家族の利益や命を保証するには、ゆっくり進まざるを得ないのだと思います。 この本が出てから、既に10年近くが経っています。その間、中国の農業・農村・農民の置かれた環境は少なからず変わっていると思われますが、いまだに中央の決定を無視した地方の既得権益層による搾取や人道無視の横暴は少なからず続いているのであろうと思います。 人口の半数以上を占める農民の待遇を改善し、彼らを豊かにしてこそ真の大国。生理的・直観的・反射的な好悪感情は抜きにして、中国の農村部に対する注目は怠ってはならないと感じさせられました。
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