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アラン島 大人の本棚
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アラン島 大人の本棚

J・M.シング(著者), 栩木伸明(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2005/11/10
JAN 9784622080633

アラン島

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商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2019/07/04

詩人の霊感と、翻訳の難しさと、物語というものとを思う。 著者シングのことは、井村君江さんの訳だっただろうかーーイエイツのあとがきかなにかで見かけた記憶がある、程度の私である。本著も、映画や前邦訳のこともなにも知らず、ただある人の紹介をきっかけに読んだ。 本著の訳は、一線を越えれば...

詩人の霊感と、翻訳の難しさと、物語というものとを思う。 著者シングのことは、井村君江さんの訳だっただろうかーーイエイツのあとがきかなにかで見かけた記憶がある、程度の私である。本著も、映画や前邦訳のこともなにも知らず、ただある人の紹介をきっかけに読んだ。 本著の訳は、一線を越えれば侮辱になりかねない(だろう)ところを、ちょうど歌や踊り、すなわち霊に通ずるもののちからを借りたかのようにすり抜けて本来の言語から「アラン島」をうつしている、と勝手ながら感じた。 みずみずしい、ということばが実際的確なのだろう。ありがたいことである。この訳に助けられて私はシングの「詩人の霊感」による記憶ーー理路整然と整えられたストーリィを押し付けない貴重な生きた「物語」ーーに触れられたように思い、人びとの純朴ならぬ素朴な生活の様子を見せてもらったようで、良い読書をさせてもらった気でいる。 ーーとここまで書いて、ふとさみしくなった。 以後はただの雑感だ。読み飛ばしてくれていい。 いまはこのアラン島の生活もまたさらに様変わりしているだろうが、シングの感じた息吹はまだ残っているのだろうか。そして、私たちが住まわせてもらっている場所にも、まだ、そうした不思議は残されているのだろうか。アイルランドでは神々はどんどん小さくなって妖精になり、ドルメンの下に隠れるまでになってしまったとほかの本に読んだ。その後はどうだったか。消えてしまったのではなかったか……。 私たちもきっと同じことをしている。 娯楽一辺倒の読書に溺れ切る前に、コンクリートの建物に慣れ切る前に、私は「物語」を学び書きたいと願う。

Posted by ブクログ

2013/03/08

とくにわけもないのにものさびしい日がある。何をする気もおきず、さりとて寝てしまうには眠気が訪れてこない。本でも読もうと思うのだが、そんな日に硬い読み物はご免こうむりたい。かといって娯楽読み物のわざとらしい刺激には食傷気味である。そういう日に読むのに紀行文というのはもってこいではな...

とくにわけもないのにものさびしい日がある。何をする気もおきず、さりとて寝てしまうには眠気が訪れてこない。本でも読もうと思うのだが、そんな日に硬い読み物はご免こうむりたい。かといって娯楽読み物のわざとらしい刺激には食傷気味である。そういう日に読むのに紀行文というのはもってこいではないだろうか。 まず、読んでいて疲れないのがいい。理屈より先に事物があるから批判が先に立たない。はじめて出会うものごとに感動する筆者と清新な感情を共有すればいい。 次に、旅というのはいずれにせよ浮世離れしているので、日々の生活に倦じ果てている心に活気が戻る。絵空事でなく現実に存在しているというところに実感があるのもいい。 最後に、本当の旅は身体的にも精神的にも疲れるのが当然だが、本の中を旅する分には、その心配がいらない。何よりこれがありがたい。 アラン島は、アイルランド西部、大西洋上に浮かぶ島である。海面から断崖絶壁がそびえ立つ石灰岩質の島にはもともと土壌成分が貧弱で、それをたえず襲う大雨や嵐が奪ってしまう。島民は海藻をとってきては岩と岩の隙間にそれを干して土壌の足しにする。また、波が荒く深い港のない島では島カヌーと呼ばれる小舟の漁が中心で、時化の日など、漁に出るのも命がけだ。かつて見たロバート・フラハティ監督によるドキュメンタリータッチの映画ではそのように描かれていた。 シングは、少し前にアラン島を訪れた友人のW・B・イエーツに勧められ、島に渡った。島の人々の暮らしぶりや伝承に心奪われたシングはその後も何度も島に渡り、古老の昔語りを採集したり、ゲール語で詠われる詩を英語に翻訳したりしながら、何より島での暮らしを堪能している。 フラハティの映画がアラン島の自然環境の厳しさや残酷さを訴えているとしたら、シングの筆が描き出すそれは、本土の人々が失ってしまった、人の暮らしの中にある質朴な美しさやあたたかさ、また、いまだに妖精とともに生きているような浮世離れした感覚である。自然や暮らしぶりの厳しさも当然描かれているが、島が好きでならないといったシングの筆致が、苦しさよりは楽しさを強く印象づけている。 おじいと呼ばれる語り部の古老が紡ぎ出す昔話の中には、シェイクスピアもこれをもとにしたかと思われるような古い物語の断片が微妙に綯いあわされた奇譚もあり、島のあちこちに残る砦とともにかつて栄えた文化の古層を今に伝えている。 何よりすばらしいのは、アラン島を取り巻く自然描写である。嵐の日の海、月夜の砦の散策、晴れた日の戸外での昼寝と、島の暮らしを思う存分味わっている筆者の感情が直に伝わってくる。島自体は今も残るが、アラン島に暮らす人々の古き佳き日々を味わうことができるのはシング氏の筆の賜物である。大人の本棚に相応しい滋味あふれる一巻。

Posted by ブクログ

2010/05/29

「海へ騎りゆく者たち」の作者のアラン島体験 英国というイメージとは違うゲール語圏、ケルトっぽい雰囲気で泥炭のにおいがしそう みすず書房 大人の書棚シリーズとのことで、装丁が素っ気なくて可愛い!フォントも可愛くて品があって大好き、やっぱりみすず書房さまさま

Posted by ブクログ

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