パラサイト・ミドルの衝撃 サラリーマン45歳の憂鬱 NTT出版ライブラリーレゾナント

三神万里子(著者)

• 販売会社／発売会社: NTT出版/
• 発売年月日: 2005/10/31
• JAN: 9784757141261

商品レビュー

2024/05/23

パラサイト・ミドルの衝撃
サラリーマン４５歳の憂鬱

「サラリーマン４５歳の憂鬱」というサブタイトルで思わす買ってしまいました。
内容は、もっとずっと広いお話でした。
要点は以下の通り。
＊現在日本は官庁・大企業・中小企業という高度に洗練されたヒエラルキー構造から、蜘蛛の巣型の構造への変革期である。
＊蜘蛛の巣型の構造の場合、ヒエラルキーのどこに位置しているかという肩書きは全く意味をもたず、蜘蛛の巣を形作る個人の情報収集・加工・発信能力が取引先を選別する大きなポイントとなる。
＊バブル崩壊後、３度にわたる大量リストラによって、経営悪化の責任を取るべき５０－６０歳代の経営層は居残り、５０－４０歳代の働き盛りの社員、それも優秀な人材を失った。また、経営層が責任を取らないことによってモラルハザードが起こり、大きなモチベーションの低下を招いた。
＊この時に、年金や子供にお金がかかるなど主に経済的な理由で離職できず、経営幹部にもなれなかった４５歳を中心とした世代は、守り（定年まで何とか波風立てずに生き残る）ということが働くことの意味になった。
＊従って、ビジネスで成績を上げることよりも、自組織や自分の保身が仕事の第一目的となり、優秀な３０代から見た時に、「４５歳以上の中間管理職に情報を伝えても問題が解決しない」と嘆かれる現状がある。
＊今後は法整備やグローバル化によって、M&Aやカーブアウト（収益性が高い事業を独立させる）が頻発し、仕事をしないで社内政治にのみ秀でているパラサイト・ミドルは確実に仕事を追われる。
＊仕事を追われた時に困らないように、情報収集・加工・発信の能力を高め、若手とコミュニケーションを取って準備しよう！４５歳のサラリーマン！
＊今後様々なニーズが多様化することによって、サービスの隙間が生まれる。また複数の業種をクロスオーバーすることによって新しいビジネスモデルを生むことができる。更にＮＧＯ／ＮＰＯなどの株式会社以外の雇用機会も増えるので、そういったチャンスを逃さないように準備しよう！
ふー。長くなりましたがこんなところです。
いろいろとデータ的に面白いものや、カーブアウトなどの知らないことも出てきましたが、基本的には思っている通りの内容でした。
でも、本当はタイトルから期待したのは、４５歳が何故パラサイト化しているのか？の理由です。
この本では、モラルハザードと保身にその根拠を求めていますが、ちょっと違うと思います。少なくとも竹蔵の場合は違います。でも竹蔵は天の邪鬼なので違うだけかも知れない。。。
同じ繰り返しが多いので、もう少しコンパクトに言いたいことをまとめて欲しかったのと、パラサイト・ミドルとフリーターやニートとの関係をもう少しまじめに分析して欲しかったです。
「人を当てにせずに、自分でやれ？」　ごもっともなお話で。

パラサイト　４５歳　竹蔵

2014/04/06

若干古いが、大手企業の構造的な問題を分析し、上手くまとめている。大企業に勤めている中高年の方が、現在や今後の展望を考えるのに読んでみるのは良いだろう。

2012/11/20

こんなにひどいパラサイトミドルを見て安心するつもりが、そういう内容もあったけど、一生勉強しろよっていう話を再認識させられた。
経営管理能力を身に付けるのか、専門能力を身に付けるのか、若さに勝る経験を積めるのか、色々不安になった。
45歳まで、あと10年。ここをどう過ごすかで、パラサイトになるのか、どうなのかが決まるのだなあ。心して掛かりたい。