1,800円以上の注文で送料無料

窓の灯
  • 中古
  • 店舗受取可
  • 書籍
  • 書籍

窓の灯

青山七恵(著者)

追加する に追加する

窓の灯

定価 ¥1,100

110 定価より990円(90%)おトク

獲得ポイント1P

残り1点 ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

店舗受取サービス対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!

店舗到着予定

11/19(火)~11/24(日)

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社/
発売年月日 2005/11/25
JAN 9784309017372

店舗受取サービス
対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる

店舗到着予定

11/19(火)~11/24(日)

窓の灯

¥110

残り1点
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

2.9

55件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/10/27

 地方から上京してきた、おそらく20代前半と思われる「まりも」は、1年も通わずに大学を辞めて、両親ともゴタゴタしていてと、住む場所すら危うい状況に陥っていたが、偶然喫茶店の店主「ミカド」に雇ってもらい、その2階にある部屋にも住まわせてくれてと、彼女の人生は救われたかのように思われ...

 地方から上京してきた、おそらく20代前半と思われる「まりも」は、1年も通わずに大学を辞めて、両親ともゴタゴタしていてと、住む場所すら危うい状況に陥っていたが、偶然喫茶店の店主「ミカド」に雇ってもらい、その2階にある部屋にも住まわせてくれてと、彼女の人生は救われたかのように思われたのだが。  その喫茶店は、飲食店や風俗店のひしめき合う最も奥に位置したところにあり、寂れたといってしまうと元の子も無いけれども、そこにやって来る客層を見れば、何となく察することができそうな雰囲気の中、ミカドは誰にも変わらない人当たりの良さと、男を取っかえ引っかえする奔放さが同居しており、こざっぱりとした自由な雰囲気は魅力と映るのかもしれないが、それは誰に対しても特別な感情を抱かない裏返しでもあるようで、そうした姿勢は、まりもに対しても決して変わることは無かった。  そして、まりもがするようになったのが、他人の家の窓をこっそりと覗き見て、その生活ぶりを知ることで、その理由としては、『人間って、思うほど動いてないんです』、『急に動くと、急に人間らしくなるなって』と、おそらくそこにはまりも自身、ここからどこに行って何をすればいいのだろうといった人間らしさを実感していないから、他人のそれを見て安心したいのではないかということに、まるで自らの人生を生きることを放棄してしまっているような空しさを感じてしまい、その行為は他人には奇矯なものに思えるけれども、本人にとっては行き場のない不安や切実な思いを抱えている証なのだと、私は思う。  『窓の灯』というタイトルには、灯りが点っているだけで人間の生きている存在を実感できて、人間であることの喜びを客観的に知ることのできる、そんな温かさに救いがあるような中で、まりもは別の救いに手を伸ばそうとしていた。  それは人間関係をあっさりと変えさせてしまうほどの恐ろしさを持ちながら、尚且つ、素晴らしいものでもあるのだが、もしも、そこで何かしらの結果がもたらされた場合と、何も変わらなかった場合があるのだとしたら、いったいどちらが本人にとって、まだ良かったと感じられるのだろう?  青山七恵さんは、絵本『わたし、お月さま』の物語で興味を持ち、本書は第42回文藝賞を受賞したデビュー作で、当時の彼女の年齢が22歳であることを知ったときには、若くして才能のある方なんだなと感じたが、これは彼女自身にとって等身大の作品なのかもしれないと思うと、その年齢だったからこそ、書くことのできた作品だったのではないかと思えてきて、若くして生きたいように生きている人もいれば、それとは真逆の人もいるのだろう、本書は『窓の灯』という、隣の芝生に羨望の眼差しを送りながらも、自らの中に灯り輝き続ける明かりの存在を感じてほしい、そんな願いが込められたようにも思われたのであった。

Posted by ブクログ

2022/07/05

夏の夜、静謐な住宅街で登場人物たちが繰り広げる会話や仕草が目に浮かんでくるような作品。なんとなくだけど、山田詠美さんの作品を読んでいるような感覚になった。最後の、まりもが姉さんと先生を責め立てる箇所は、自分の身近な人を取られたくない気持ちと、秘密を共有している人が別の秘密を別の人...

夏の夜、静謐な住宅街で登場人物たちが繰り広げる会話や仕草が目に浮かんでくるような作品。なんとなくだけど、山田詠美さんの作品を読んでいるような感覚になった。最後の、まりもが姉さんと先生を責め立てる箇所は、自分の身近な人を取られたくない気持ちと、秘密を共有している人が別の秘密を別の人と共有することへの嫉妬のような感情が複雑に絡んだ故の行動なのかわからないけど感情移入できた。終始平坦で最後に少しヤマがくる感じだが、さらっと読めて久しぶりの読書にふさわしいものだった。

Posted by ブクログ

2021/01/05

図書館がコロナ対策故に閉じられたことにより、どこかで買うかと渋っていました。 言葉に溺れて言葉が下手でどうにも言葉を見ることが怖くなって言葉から遠退きました。それでも、ラジオが流れてきたら国語辞典を手に取り、相手に何かを伝える時に筆記をすれば文字を繰り、誰かとの関わりの中で言...

図書館がコロナ対策故に閉じられたことにより、どこかで買うかと渋っていました。 言葉に溺れて言葉が下手でどうにも言葉を見ることが怖くなって言葉から遠退きました。それでも、ラジオが流れてきたら国語辞典を手に取り、相手に何かを伝える時に筆記をすれば文字を繰り、誰かとの関わりの中で言葉をうまく使おうとすると避けることは違いました。 ずっと暇な時間があり、本が置かれてあり、本を手に取ることになりました。文章に目を通す。でも、うるさくて進められない。読んでいても流す。そんな中、あかりの湖畔に出会い、綺麗、だった。途中嫌なシーンになり急下降はしたものの青山七恵さんが読みやすくて、全て目に留まったら読んでみたいと伝えていたところ、この本をいただきました。とても綺麗な状態の初版本。選評の文が載っている帯が巻かれる。栞紐がうぐいす色でクリーム色の紙に蹲り光が留まり、開かれた形跡が見受けられない。装丁から物語に入る扉が閉められている静けさを保っていました。私が買ったとしてもこんなに丁寧なものは手に取れないのではないかと思う。 半分まで一気に読み進めることができ、令和2年内に読み終わりまとめとしようと思っていたのだけれど、実生活の主要なことを優先すると節目に切り良く読み進めるとは行かず、年末年始の一冊となった。 見たくない言葉というのがあって、私の中を汚したくない、傷付けたくない、というのが申し訳ないけれどどうにもあり、これは物語的に売れないよというのが途中まででこぼしてしまった感想だった。文章がうまいから読めるよとは呟いた。(口紅の蓋を閉める。~ 姉さんは唇をすり合わせて、口の端を指先でぬぐった。)この文章は色気よりももっと気品のように響き、ほっとした。 読み終え、自分の中を流す安心感を探しているように受けとめられた。それは大学をやめてしまったように、自分のことを見つめる境遇になっている時に陥りやすいように思う。その状態は陰湿であり、それがゆるやかに物語となっていた。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品