おとぎ話を信じた王女さま

マルシアグラッド(著者), 住友進(訳者)

• 販売会社／発売会社: 竹書房/
• 発売年月日: 2005/11/09
• JAN: 9784812413449

商品レビュー

2010/07/02

とあるコミュで発見。
すさまじく興味をそそられ、即行Amazonで探して入手しました。

カバーは少女マンガも真っ青のキラキラの乙女仕様。
持ち歩くにはこっぱずかしく、カバーを外して読んでました。

イラストは何と、私の好きな作家・井上裕美子さんの『五王戦国志』でイラストを描いた小林智美さん。
見た瞬間分かった自分にびっくり笑

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寝る前とか仕事の合間に読んでいたので数日かかりましたが、
一気に読めば1日でいけたと思います。

女の子ってお姫さまに憧れますよね～

そして、「いつか王子さまが」ってどこかで思っていたりすることってあると思います。
「んな、アホな～」って、今はそうでなくても、小さい頃とか、一度はね？

主人公の“王女さま”も、そんな王子さまに憧れる普通の女の子と同じです。
この物語前半、王女さまは両親の威圧に委縮しながらも夢に描いた王子さまと結ばれます。
ここで終われば、私たちがよく知っているおとぎ話の結末ですよね。
こういう典型的な話、嫌いじゃないですよ。
ディズニーで言うところの、シンデレラや白雪姫、オーロラ姫とかね。

そこで、考えたことないですか？
その後の物語。

ディズニーではシンデレラのその後もDVDになったりしてますね。
このシンデレラはいろいろと大変な目にあったと思うんですけど（記憶があいまい）、
その中で行動し問題を解決していってました。

そして、ちゃんと“真実の愛”というやつを手に入れてました。
苦しみや辛さを克服して得る幸福や喜びは大きいですよね。
そして、その中から得るものも多いです。

と、話がシンデレラになってしまいましたが、この本の王女さまも要はそういうことかな、と。

『シンデレラ』よりは話が広いし、王子さまの扱いが違います。
そして、王女さまは真理を求めてどんどん自立していきます。
読みながら、「王女さまって私のことじゃん」と思えてきました。
たぶん、この本を読んだことがある多くの人は、“王女さま”が自分に重なって思えたんじゃないかと思います。

そして、私が“王女さま”で同じように真理を求めて歩んでいるならば、
“道に迷った旅行者のためのキャンプ場”にいるかもしれないと思えました。

飢えに苦しんでいても、飢えているほんとうの原因がわからなければ、
人間は幻想にとらわれ、幻想の奴隷になってしまう　－171頁

確かにそうだなと思います。
飢えに限らず何でもそうですよね。

王女さまはいろんな経験を通しながらさらに旅を続けるわけですが、
目的地目前の地である声に出会います。
その声は王女に

「生きている意味を見つけだすこと、それこそが人生なのだ」
「わたしは万物の中の一部であり、あなたもわたし同様、万物の一部なのだ。
－中略－離れ離れになっていると思えても、永遠にひとつなのだ」

と語りかけます。

王女さまはこれを胸に無事に目的地に到着。
そして、自分が唯一無二の存在であることに気付きます。
今まで両親や王子さまの前で本当の自分でいれなかった理由にも気付きます。
恐れていたもの、不安に思っていたものから解放され、そして新しく出発してゆきます。

王女さまが旅に出てからは、もういろんなメッセージがちりばめられてある感じです。
おとぎ話風であるのに、やたらと現実的な内容で、とにかく、「はっ！」と思わされる内容が盛りだくさんでした。

私のためにある本なのか？！と思っちゃったりして

気持ちが沈んでる時に読むと、お薬みたいで癒されるかもしれない一冊でした。

大人のおとぎ話は“王子さま”がいなくてもハッピーエンドになるんこともあるんだって～