大丈夫。人は必ず生まれ変われる。

岩井喜代仁(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋/
• 発売年月日: 2005/07/15
• JAN: 9784163672403

商品レビュー

2016/11/02

・よく、友だちがクスリを使っていたら「とめる勇気を持とう」という言葉があります。これは大間違い。先生方もよく聞いておいてほしい。
うちの19歳の子にこんなのがいました。近所に不登校のシンナー少年がいて、先生から、「友だちが近くにいるんだから、誘って学校に連れてこいよ」って言われた。そいつは先生の言葉に従って、一回目学校に誘ったら一緒に少年はついてきた。二回目のときだ。お前が吸ったら行くって言われた。そこからうちの子はまっちゃったんだよ。
先生もええかげんすぎる。まったく無知。ものを知らない先生だぜ、これは。

クスリは友だちが使っていたら絶対にとめる勇気を持つな。
絶対に側によらない。逃げる勇気だけを持て！

友だちを捨てて逃げる勇気。断って逃げる勇気。断る勇気も大変だけど、自分の友だちを捨てて逃げる勇気は本当に必要だぞ。
さっき、おじさんは三人以上友だちがいるかって質問しました。一人ふたりしかいない友だちから誘われたらどうするのよ。友だちが多かったら逃げる勇気がわくんだ。おまえだけが友だちじゃない、俺には俺を本当に心配してくれる友だちがいる、おまえはクスリやめてから俺の側に来いよって言ってやれるんだ。それが真の友よ。
だから、友だちは絶対に三人以上いるんだ。
とめる勇気なんて間違っても持つな。必要なのは、断って逃げる勇気だけ。
なんでかって言うとね、おじさん売人をやりながら高校生もいっぱいはめてきた。でもね、おじさんに断って逃げたやつは、はめられなかったのよ。ホントだぜ。でも俺をとめようとして側に寄ってきたやつは全部はめてきたな。簡単に。断って逃げて、そこの場からすぐにいなくなったやつだけは、はめられなかったのよ。

・これまでの話で、俺の人生、ダルクにつながるまで、そして、ダルクの基本方針みたいなものは全部吐き出した。こんなふうに自分を棚卸ししてみると、俺がこれまでやってきたことは、結局、「人は人間性をどう取り戻すことができるんだろう、どうしたら家族の機能を取り戻すことができるんだろう」という答え探しだったような気がする。それは、自分自身の人間的感情を取り戻す道のりだった。クスリで見失った自分自身の人生を取り戻したかった。
探していた自分自身はどこにあったのか。俺自身、思いがけないことだったけど、それは仲間の中にあった。クスリにはまってやめられなくて、何度もスリップ（再使用）しては戻ってくるやつら…。それは、俺自身の姿だって気がついた。俺は人を治すためにここにいるんじゃない。自分のためにここにいるんだ。クスリをとめられない仲間を見て、使ったら自分もこうなると、常に警告されている。
と同時に、薬を使わない生き方をしている仲間がここにはいた。回復している例が目の前にある。その前を歩く仲間の姿が自分に勇気を与えてくれた。そして今、十三年間クリーンの続いた俺が、仲間にとって励みになっている。大切な仲間たちの信頼を絶対に裏切れないからこそ、ずっとやめ続けなくてはならないと誓える自分がいる。つまり、俺が回復したと言えるのは、仲間の中にいるからこそなんだ。

2010/04/25

元やくざで薬に填って刑務所に入っていて更生した著者の波乱万丈の人生を描いている。衝撃的な内容。
薬をやっていたら、行きつく先は、刑務所、精神病院、死体置場。
逃げるなよ、逃げないで頑張れよ。自分から逃げさえしなければ、なんとかなるさ。あきらめず、逃げさえしなければ必ず人間は生まれ変われる。メッセージが重たい。