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野獣の薔薇園 ファンタスティック・ラブ・シリーズ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ジュリアン/ |
発売年月日 | 2005/10/23 |
JAN | 9784902584134 |
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野獣の薔薇園
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商品レビュー
3.6
5件のお客様レビュー
あまり読む気がなくて、暇つぶしにページをめくっていたが、やはりおもしろい。逃れの森の魔女の方が好きだが、説得力がある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
16世紀のペルシャ(からフランス)を舞台にした野獣視点の美女と野獣。 アラビアンナイト→シートン動物記→秘密の花園と読みすすんでいる気分になった。 でもまぎれもなく美女と野獣。 愛はフランスで見つけるべし。 物をつかめない前足で本を挟んで動かして、体温調節に使う舌でぬらさないよう細心の注意を払ってページをめくり、遠くを見るための目を酷使しながら本を読む。 鋭い爪で穴を掘り、木を植える。 野獣の獣っぷりと、人の思考のバランスが大変いい。 王子様はなんだってひとりでできる。ひとりでできるべきだから。 野獣だってなんでもできる。群れる動物だから途方もなくさびしいけれど、それでも努力でなんとかなってしまう。 その危うさは最初から繰り返し示唆されるけれど、オラスミンは気付かない。 最初の雌は肉をくれる。 野獣は美女に肉を与える。 野獣は美女のために卵をとり、壊さないようにそっと運ぶ。 運ぶことはできるけれど壊さずに取り出すことはできないから、ベルが来るのを待って差し出す。 彼女のための卵は、彼女が気付いて取り出してくれなければ渡すことができない。 オラスミンはこの時すでに彼女が受け取って(助けて)くれることを期待して卵を運んでいるんだけど、まだ「他者の力を借りること」の必要性に気付かない。 オラスミンは敬虔で賢い王子様で経験の足りない少年。 それが「ひとびと」から切り離されて、追われ、狩り、逃げ、大人になっていく。 美女と野獣の間には絶対的に言葉が足りない。(人間とライオンだし) シュシュのこともわからない。(キツネとライオンだし) それでも近くでかかわりあえば、女子の気を引くためのマスコット(あるいは肉)は「シュシュ」になり、元に戻るためのアイテム(あるいは寂しさを埋めてくれるかもしれない偶像)は「ベル」に変わる。 最初から最後まで(ひとりのときも、ベルと出会ってからも)野獣視点なのが良い。 おかげでコミュニケーションは双方向だということがわかる。 オラスミンは王子たるもの、すべて自分で処理できるべきだと思っているから他者の助力を乞うことができない。 実はベルも助けを求めようとしない。恐怖を見せないから恐がっていないと思われるし、欲しいものを見せないから与えてもらえない(多分家族に対しても)。 ベルの場合は身を守るためで、信頼がないからなんだけど。 美女を誘うための薔薇園は、誘わない野獣と尋ねない美女のパラダイスにはなれない。 自分の弱さを認める勇気と、相手の強さ(折れないとか優しいとか)を信じる勇気をつかんでいく話だ。
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作者のドナ・ジョー・ナポリは、誰もが良く知る物語を、新解釈で書き直して作品にしている作家なのだそうです。同書も、ご存知〝美女と野獣〟を16世紀のペルシャを舞台に、野獣視点で描き直したものです。 ペルシャの王子オラスミンは、精霊の呪いによってライオンに姿を変えられてしまいます。彼を...
作者のドナ・ジョー・ナポリは、誰もが良く知る物語を、新解釈で書き直して作品にしている作家なのだそうです。同書も、ご存知〝美女と野獣〟を16世紀のペルシャを舞台に、野獣視点で描き直したものです。 ペルシャの王子オラスミンは、精霊の呪いによってライオンに姿を変えられてしまいます。彼を心から愛してくれる女性に巡り会えない限り、呪いが解けることはありません。と、ここまではファンタジーにありがちな筋書きなのですが、この小説が面白いのは、ライオンになった王子が、ペルシャを飛び出し、インドからパリへと孤独な旅を続ける中で、悲しみや挫折、絶望を味わいながら、人間としての感情をようやく保ちつつ、体が獣の本能に目覚めていく様を丹念に描いているからです。そのことがリアリティーを生み出して、読者を違和感なく物語の世界へ誘ってくれるのでしょうね。 オラスミンが運命の女性ベルに出会うのは、ページの残りも少なくなってからなのですが、二人の間に横たわる緊張感や、揺れ動く感情の機微が良く描かれていて、単なる夢物語に終わることなく、味わい深いお話に仕上がっていますよ。
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