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雪あかり 曽野綾子初期作品集 講談社文芸文庫
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雪あかり 曽野綾子初期作品集 講談社文芸文庫

曽野綾子(著者)

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雪あかり 曽野綾子初期作品集 講談社文芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2005/05/10
JAN 9784061984066

雪あかり

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商品レビュー

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2019/11/29

「鸚哥とクリスマス」 善人でございといった顔をして 敗戦後の日本をのうのうと生き延びている人々 ラジカルで感じやすい若者たちに言わせれば それはよほどの悪党か 鈍感な馬鹿ですと自己紹介してるようなものだった そんなアプレゲールの時代に そういう許婚を持ったことが耐えられない しか...

「鸚哥とクリスマス」 善人でございといった顔をして 敗戦後の日本をのうのうと生き延びている人々 ラジカルで感じやすい若者たちに言わせれば それはよほどの悪党か 鈍感な馬鹿ですと自己紹介してるようなものだった そんなアプレゲールの時代に そういう許婚を持ったことが耐えられない しかも相手が本当の善人であるだけに、なかなかそれを言い出せず 婚約の解消も延ばし延ばしになっていた そういうお嬢さんの話である 「遠来の客たち」 箱根のホテルで、米軍関係者を案内する仕事に携わっており 英語が上手いので重宝がられているお嬢さん 彼女は、性格の優しい軍医に好意を持っていたが 粗暴で理不尽なところもある隊長に、何も言えない彼の気弱さを見て おおいに幻滅する 「海の御墓」 戦前、国際法の学者として日本の外務省に招聘されたが 日本の自由に肩入れしすぎたため 自国籍を剥奪されてしまった英国人の話 アメリカを毛嫌いし そのために妹の寿命を縮めた後悔はあれど 晩年は理解者に囲まれる ラストシーンは一見虚無的ながら ヒューマニズムに裏打ちされた手触りがある 「雪あかり」 婚期を逃した女と男が なんとなくつきあい続けているのだが 互いに結婚するつもりなんかまるでないという話 なんでそんなことになってしまっているのか この作品では、母の古い価値観と、現代社会とのあいだで板挟みになり 疲弊して無気力へと陥った男の様子を窺わせている 「身欠きにしん」 自分はぜんぜん大したことのない人間だという 自虐的自己認識を得ていたおかげで 見た目はアレな上に面白味もなく 堅実な性格だけが取り柄の男と結婚してしまい それでいつしか気づいたら 郷土の偉人を支える妻ということになってしまっていたのです 「蒼ざめた日曜日」 世にありふれたフェイク(偽物)をめぐる四つの物語 偽金づくり 社会にあわせて自分を偽る女 義眼の少年 落ち目の劇作家、など 人々は真実に憧れ、怯え、あざ笑い、また嫉妬する 「冬の油虫」 夫との精神的なすれ違いに妻は不満を持っている しかし夫はそのことにまるで気づいていない という話

Posted by ブクログ

2019/04/04

解説:武藤康史 鸚哥とクリスマス◆遠来の客たち◆海の御墓◆雪あかり◆身欠きにしん◆蒼ざめた日曜日◆冬の油虫

Posted by ブクログ

2016/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「クラシックホテルが語る昭和史」に、曽野綾子が高校生の頃にそこでバイトをした経験を元に書いた小説とあり読んでみた。その、芥川賞候補にもなった「遠来の客たち」を含む短編集。昭和28~34年の頃にかかれた7編。  芥川賞候補になったのが22歳、大学生の時。そういう予備知識なしに読んだとしても、実に瑞々しい文章だなと思うだろう。育ちの良さが滲み出ているというか、怖いもの知らずの勢いがある。巻末解説に芥川賞詮衡会で選者のひとり石川達三に「(前略)新しい性格の文学だと思ふ。それを作者は案外平然として、すらすらとなんの苦労もなしに書いてゐる。 」「今日までの日本文学にとつて、「異種」である。」と言わしめている。分かるな、その感じ。四畳半フォーク全盛期に現われたユーミンみたいなもんか(違うか?)  曽野綾子を読むのは何十年ぶりだろう?というか「太郎物語」くらいしか読んだことがないと思う。NHKのドラマ先にありきで、確か後から読んだ。いいとこの坊ちゃんの話だなというくらいの感想しか残ってない。  戦後10年と経たない頃の作品。キャリアウーマンの主人公が恋人の母親から「それじゃ、お仕事はもう殿方以上にお馴れでしょうねえ」 と皮肉たっぷりに言われたり、時代はまだまだ男中心。そんな時代に、鼻っぱしらの強そうな、すこしスノッブな女性登場人物が多い。きっと作者の”素”の部分がストレートにでているのだろうな。 ”何かあきらめの情熱といったものも感じられませんでした。 ” ”夫の言葉は返事をしないより無責任だった。” 男に向けられた手厳しい言葉に時々ハッとさせられた。 表題作「雪あかり」も良いが、祖国に見捨てられた年老いた英国紳士の姿を女中の目線で描く「海の御墓」もよい。「冬の油虫」の何とも言えない余韻の残るエンディングも良い。

Posted by ブクログ

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