ドキュメント・市民がつくったまちの憲法 大和市自治基本条例ができるまで

大和市企画部(著者), 牛山久仁彦

• 販売会社／発売会社: ぎょうせい/
• 発売年月日: 2005/05/31
• JAN: 9784324076910

商品レビュー

2024/09/05

神奈川県大和市で「自治体の憲法」と呼ばれる自治基本条例が徹底した市民参加とその市民たちによるパブリック・インボルブメント（市民を巻き込むこと）により制定されるまでの過程のドキュメント。
平成14年度に公募の市民35名（応募者全員就任）などで大和市自治基本条例をつくる会が発足してから、手探りの会運営、パブリック・インボルブメントを繰り返す日々、会メンバーでの条例素案の取りまとめ・提出、行政での条例素案から条例案への検討、市議会での紆余曲折の議論を経て、平成16年４月１日に条例が施行されるまでを、当時の新聞記事やメンバーのコメント等も交えながら詳細に振り返っている。
大和市自治基本条例という１つの条例が、市民たちの熱い思いと活動により、山あり谷ありの中、生まれていく様が描かれていて、ドラマを見ているように面白かった。
自分も行政職員の一員だが、この徹底した市民参加スタイルでの条例制定過程は本当にすごいなと感じた。参加した市民メンバーやパブリック・インボルブメント参加者はもちろんのこと、市職員メンバーや裏方として支えた事務局に敬意を表したい。
他の自治体や自治基本条例以外の条例で本事例を真似することはかなり困難だし、現実的でもないと思うが、市民参加による条例制定、パブリック・インボルブメントによる政策形成という点で、１つの参照すべきモデルだと思う。また、委託によるファシリテーターの配置やアウトリーチ型のパブリック・インボルブメントなど、他の分野での市民参加等においても参考になるところが多々あった。
一方、あれだけ精力的に活動してもらったつくる会の市民メンバーが無報酬で手弁当であったことや活動するための予算の不足等、もう少しなんとかならなかったのかなと思うところもあった。