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悲劇週間

矢作俊彦(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋/
発売年月日 2005/12/15
JAN 9784163246406

悲劇週間

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商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2019/03/18

矢作俊彦がこういうのも書くんだということがマジ驚き。堀口大学が実名なんだということも驚き。もっとも、堀口大学なんて知らないというのが、今や普通で、矢作俊彦だって???という時代。トコトンうんちくとも読めるし、腰の据わった、しかし、どこか風太郎的奇想の匂いもする快作。 もっとも、読...

矢作俊彦がこういうのも書くんだということがマジ驚き。堀口大学が実名なんだということも驚き。もっとも、堀口大学なんて知らないというのが、今や普通で、矢作俊彦だって???という時代。トコトンうんちくとも読めるし、腰の据わった、しかし、どこか風太郎的奇想の匂いもする快作。 もっとも、読むのには、少々根性もいるかもしれない。

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2014/08/12

20140808立秋翌日 悲劇週間 矢作俊彦 文藝春秋 西題SEMATA TRAGICA 図書館返却棚で偶然の邂逅。外交官の息子「大學」の墨国(Mexico)での恋。 維新の頃の日本、米国と対峙していた墨国という地理と、与謝野晶子、鉄幹 石川啄木など日本の俳壇、フランスに行く途中...

20140808立秋翌日 悲劇週間 矢作俊彦 文藝春秋 西題SEMATA TRAGICA 図書館返却棚で偶然の邂逅。外交官の息子「大學」の墨国(Mexico)での恋。 維新の頃の日本、米国と対峙していた墨国という地理と、与謝野晶子、鉄幹 石川啄木など日本の俳壇、フランスに行く途中で美貌のフエセラとの出会いと 冒険と別れ。時代的には、海から来たサムライの頃(米国のHawaii併合)。 そして、フエセラの訃報が昭和3年のバニティフェアに載ったと。 町田の高原書店の倉庫が戸塚にあり、そこでデミムーアの妊婦ヌードが表紙の バニティフェ(虚栄の市)を古本でみつけた記憶が蘇り。

Posted by ブクログ

2013/03/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

メキシコ革命の混乱を背景に、国と国との外交を、人と人との信義を、そして男と女の愛をこれでもかというまでに華麗にロマンティックに描いた矢作俊彦の新作。狂言回しをつとめるのが二十歳になったばかりの堀口大學。言わずと知れた『月下の一群』の詩人である。「夕暮れの時はよい時」の優しさ。エロティックな詩に見せる官能性と、同時代の日本詩人とはひと味ちがった作風を持つこの人の父は外交官であった。 大學の祖父は河井継之介の起こした戦で討ち死にする。遺された父は米百俵を金に換えての教育を受け、めきめき頭角を現し立志伝中の人物になる。しかし、外交官時代朝鮮王妃暗殺に関係した罪で投獄、後に放免され外交官に返り咲く。在外公館を渡り歩く父は滅多に帰らず、母に早く死なれた大學は祖母一人の手で育てられ、父の愛を知らずに育つ。 明治45年、若き大學は慶應在学中。秘かに敬愛する与謝野晶子と鉄幹主宰の新詩社同人となり、荷風の授業を受けるなど、父の願いに反して詩人への道を歩んでいた。大逆事件に連座した女流詩人が新詩社同人であったことから、与謝野夫妻の周囲にもきな臭い煙が立ち上る。そこにメキシコ公使として赴任中の父から渡航を求める便りが届く。ハワイで喀血し肺を病む身となった大學は公使の嫡男として公使館に身を落ち着ける。 折しも当地では、独裁政権が倒れ新政権が起こったばかり。独裁者ディアスを倒した新大統領は血を見るのが嫌いな義人であった。しかし、その温情が却って叛乱の芽を摘み残し、政情は不安であった。パンチョ・ビリャ、サパタと詩に謳われ、映画にもなった英雄達が革命の同士マデロとの確執の中で、敵味方になって相戦う。叛乱の最中、公使は大統領の家族を公使館にかくまうことになる。その中に、大統領の姪でコーヒー色の肌を持つ美少女フエセラがいた。一目で恋に落ちた大學は、どこか秘密の匂いのあるこの美女と逢瀬を重ねるのだったが。 アステカの遺跡、湖を埋め立てた上に造られた壮麗な都市、数多の骸骨が街に繰り出す「死者の日」の夜、異国情緒溢れる南国風景が眼前に展開される。男勝りの令嬢は馬にも乗れば車も運転する。しかもパリから送らせる衣裳は華麗この上もない。大學も暴れ馬に乗り、自転車で疾駆する。復活祭の夜は道化服の仮装と負けてはいない。二人の恋が成就するかどうかも気がかりだが、端正な街路はしだいに戦場と化す。暴動を恐れた日系人が公使館の守りにと馳せ参じる。その中には戊辰戦争の生き残りの野中老人、官軍の海江田武官、会津戦争で死にはぐれたマユズミさんと、明治維新の敵味方が呉越同舟。 堀口の家も今でこそ新政府の外交官であるが、もとは長岡藩士。大學のフランス語家庭教師ドン・ルイス・ペレンナは砲術士官としてパリ・コンミューン、五稜郭の戦いでいずれも敗軍と共に戦った経験を持っていた。いきおい歴史を裁く視点は破れた側から見られることになる。特にテキサス、カリフォルニアでは満足せず隙あらばメキシコを手中に収めたいと画策し、執拗に干渉を繰り返すアメリカに対する反感の表現は露骨でさえある。 ルサンチマンに溢れた書きぶりは文体にも影を落とし、倒置法を多用する美文調になる。そこにランボオやヴェルレーヌらの詩の引用が入る。ニザンや小林秀雄、その他人口に膾炙した名文のパスティシュがふんだんに織り込まれる。センチメンタルのどこがいけない。ロマンティケルで何が悪いという開き直ったような文体は堀口大學に仮構した作者その人の心情が却って顕わになったというところか。原稿用紙一千枚の大作だが卷置く能わず一気に読み通した。堀口大學という視点人物とメキシコ革命という背景を結びつけた作者の慧眼に快哉を叫ぶ。山田風太郎の開化ものに通じる、虚実綯い交ぜた歴史物語を読む愉しさに溢れた快作。

Posted by ブクログ

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