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少子高齢社会のみえない格差 ジェンダー・世代・階層のゆくえ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会/ |
発売年月日 | 2005/02/10 |
JAN | 9784130511216 |
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少子高齢社会のみえない格差
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2005年刊。著者は東京大学大学院人文社会系研究科准教授。 タイトル通りの格差論に切り込む書だが、久々に陳腐な書との読後感。10年以上も前の著作だからか?。 刊行年次から見て、ゼロ・10年代のデータがないのは当然として、データ自体はそれほど特異な結論は出ていないようだ。精々、低学歴女子も未婚率が有意に上昇している点。未婚率上昇が低学歴男子に限らない現象を示唆するのは異色かもしれない程度だ。 が、その解析に?。 例えば教育レベルの世代間再生産・固定化の議論なら世帯間格差の分析が有益なはず。当然、単身子持ち世帯と夫婦子持ち世帯と大規模家族子持ち世帯とが比較されるべきだろう。 一方、例えば、少子化・晩婚化は未婚の個人の収入比較を指標にすべきということは判りそうなもの。 つまり、分析目的に応じたデータ解析が必要だというのは自明なのに、かかる世帯間格差と個人間格差との指標としての優劣を衒いなく検討する。 指標選択という観点で、ジェンダー格差論というイデオロギーに毒されている印象が残るのだ。 加えて、政策提言もこれでは何の意味もない。 どういう法制度で、どういう規範が望ましいか。労働法制を軽く触れるくらいで、少なくとも具体的提言として傾聴できるレベルの検討をした過程は伺えない。
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格差社会と言えば「格差が広がってきた」「変化した」という側面ばかりがとりあげられるが、「変わらないところ」も含めて、冷静に論を進めているところが貴重。 「未婚化」「晩婚化」について、たとえば「女性が稼げるようになったから」とか「負け組男性が選ばれなくなったから」とか、いろんなこ...
格差社会と言えば「格差が広がってきた」「変化した」という側面ばかりがとりあげられるが、「変わらないところ」も含めて、冷静に論を進めているところが貴重。 「未婚化」「晩婚化」について、たとえば「女性が稼げるようになったから」とか「負け組男性が選ばれなくなったから」とか、いろんなことを言う人がいる。たしかに表面上の数字は「そう見える」。しかし、両者はほんとうに「関係」しているのか? 著者は関連する変数を慎重にフィルターにかけながら、影響を見極めていく。 たとえば世帯収入別に未婚割合を見てみると、1985年時点でも1995年時点でも、男女ともU字型のグラフを示す。低収入、高収入は男女とも未婚割合が高く、まんなか付近の結婚率が上がる。10年間の変化を見てみると、たしかに低収入の男性の未婚率は上がっているが、低収入の女性の未婚率も上がっている。一方、高収入男性の未婚率は下がっていて、高収入女性の未婚率も実は下がっている。この結果からは、一方的に「女性がゆたかな暮らしを捨てたくないから」とか「低収入の男が結婚できなくなったから」と言うことはできない。ことはそう単純ではないのである。 結論として著者は、 ▼▼▼▼▼ 少子高齢化をキーワードとして、女性の高学歴化、未婚化、晩婚化、というマクロな変化を結婚、役割分担、同居携帯、支援提供という個人の行為の側面に注目して、ジェンダーと世代、階層論の立場から検討してきた。「~化」と表現される社会経済的現象は、かなり画一的かつ安易なイメージを伴って人々の意識に浸透しがちだ。「女性の高学歴化は未婚化を促す」「親に寄生するパラサイト・シングルたち」、「家族機能の低下と介護機能の低下」、といった議論は、ここでの分析結果をみた限り少々単純すぎる見解であった。 ▲▲▲▲▲ と結論づける。数字の分析が煩瑣で、一般書というよりは論文ちっく。でも、山田昌弘の『希望格差社会』を読んであまりの我田引水的な数字の使い方に思わず本を壁にたたきつけそうになったので、この問題にはかえってこのくらいうっとうしいほうが安心できた。 他にも「夫の家事参加度は、『意識』よりも、夫の『労働時間』に関連している」とか、「成人してるのに世帯にとどまる子ども(パラサイト)がいる家庭はかえって貧乏だとか」、いろいろ興味深い結論も。 少子高齢化はすすむにしても「お先真っ暗」でも「急転直下」でもない。「変わるところ」だけではなく、容易に「変わらないところ」も見極めて取り組む視点が必要だという著者の結論を大事にしたい。
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