八ッ場ダムは止まるか 首都圏最後の巨大ダム計画 岩波ブックレット644

八ッ場ダムを考える会(編者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店/
• 発売年月日: 2005/02/04
• JAN: 9784000093446

商品レビュー

2017/05/24

2005年に発行された本。
10年前には、八ッ場ダムはまだ本体工事が行われておらず、振り替えしと見直しが行われて行くことを切望されて書かれている。
しかし、今、すでにダムはコンクリート打設が行われ、建設が進行している。危険や、必要性についての課題は、そのままだ。
果たして、本当に八ッ場ダムは必要なのだろうか？
利水（水需要への対応）的にも、治水（洪水対策）的にも、機能しないことが懸念されているにも関わらず、それらの疑問に答えていないにも関わらず、工事は強行されてしまった。
八ッ場ダムは、なぜ、止められなかったのか。
どうすれば止められたのか。
現地住民が、激しく反対運動を闘っていた頃、残念ながら、水を供給される都心部の住民たちには、その重要性や必死さは届いていなかった。何とか届ける方法はなかっただろうか。届いていたら、何か変わっただろうか…。
現地を訪れてから、ずっと考えている。

「ダムは固い岩の上にできるのではありません。
　弱い心の上に造られてしまうのです。」
　（1967年、八ッ場ダム建設絶対反対総決起大会より）

2012/08/06

八ッ場ダムは半世紀前に計画が発表されたが、本体着工には今だ至っていない。この冊子から読み取れることに八ッ場ダムは利水・治水両面からムダとなっていることがわかる。この冊子を読むと八ッ場ダム反対に心が動く。
ここで考えたいのは建設する側の視点。このようにこのダム計画はムダであるとされ、多くの反対運動に晒されていながらも、計画を推し進めようとするのだろうか。この計画によって人々が被る不利益以上の全体のための利益があるのだろうか。
ただ思うのは、たとえこのダム計画によって多くの利益を得られるとしても、人々の安住の地、魅力的な我妻渓谷という大自然を崩してもそれを行う価値はあるのだろうか、ということ。