ホテルに泊まるといふこと

林俊介(著者)

• 販売会社／発売会社: 金沢倶楽部/
• 発売年月日: 2004/04/20
• JAN: 9784906387380

商品レビュー

2010/03/02

著者は、月刊「金澤」を発行している㈱金沢倶楽部の代表取締役会長でありエッセイスト。

どうも著者は「一部屋に何人も詰め込む」温泉旅館が嫌いで、自宅のように寛げるホテルが好みらしい。二十軒の有名ホテルの紹介と感想が書いてある。
庶民以下の私はどのホテルにも泊まったことはないが、読み終えても自腹で泊まりたいと思うところはなかった。
敢えてアラブの大富豪が「私が料金を払って泊まらせてあげるよ」と言ってくれるならば「強羅花壇」かなぁ・・・。

私は著者とは反対でホテルより温泉旅館が好み。
過去に一度だけ帝国ホテル（東京）に泊まった。
出発の朝、宅配しようとする荷物を部屋までホテルマンが取りに来てくれ一階の配送手続きのところまで運んでもらえた。
それから私はそこで自分の番がくるまで立ったまま延々と待たされた、「椅子は無いのんかぁ～」と叫びそうになりながら（叫んでもたいしたことはない　周りはよその国の人ばかりだったんだから）。
ホテルを出る最後の思い出が悲惨だったので、たとえアラブの大富豪が「私が料金を払って泊まらせてあげるよ」と言ってくれても帝国ホテルには二度と泊まらないだろうなぁ。

過去に一度だけ泊まった神戸のホテルオークラ。
港を散歩してホテルに帰る途中、公園にビニールテントや段ボールで小さな我が家をつくっている一団がいて、その人たちは裏に乱立している大きなホテル群を眺めて何を想うのか、そこへ泊まる自分より若い者を眺めてなにを想うのか、それを思う私のホテルでの寝心地は決していいものではなかった・・・と思う。

ホテルでのいい思い出ってあまりないが旅館は大好き。
過去に一度だけ泊まった加賀屋。
結構でございました。メインの部屋に鏡部屋・お炬燵の部屋と続き部屋がありお部屋係に包んだチップ以上にビールと料理一品のお礼を戴き、心も肉体も宇宙の果てまで解放できました。

ホテルや旅館　そこに自分が何を期待するか、それを自覚できれば自ずとチョイスできるのは決して値段だけでの価値ではないはずだと思います。
ちなみに著者は　「どこにも行かず、終日ホテルにいて、終日ホテルで過ごす　それこそが『ホテルに泊まるといふこと』の醍醐味」だそうです。
それにしても　著者がワインを三本呑んで、ホテルの贅沢な料理の詳細もワインの銘柄も覚えていないのは豪快だなｗ

ああ　気候もよくなってきたし何処かへ行きたくなりますねぇ