介護・保育サービス市場の経済分析 ミクロデータによる実態解明と政策提言

清水谷諭(著者), 野口晴子(著者)

• 販売会社／発売会社: 東洋経済新報社/
• 発売年月日: 2004/06/19
• JAN: 9784492313411

商品レビュー

2011/11/13

　本書では、草津市の事例を紹介しながら、介護保険におけるサービスの供給調整や管理が政治経済学的な視点から述べられています。

　まず、国は介護報酬の改定や保険料(率)の設定を行い、マクロレベルで管理を行います。
　次に、自治体では事業計画にともなう施設定員の制限／ケアプランのチェックを行い、施設／居宅サービスにおけるサービス供給の抑制を行なっています。
　そして、利用者はサービスの１割を負担し、給付上限を超過した場合は全額自己負担になることで利用の制限を行なっています。

　このようにな三段階で利用抑制が組み込まれた介護保険制度を、筆者は次のように述べています。

　－それはまた市町村と住民に、従来の措置制度においてはほとんど意識されることがなかった介護サービスの「コスト」を意識させる仕組みでもある。

　この制度でしわ寄せが行くのは事業者です。なぜなら「制限された制度」では高齢化に伴って増大する「サービス需要」や「利用者ニーズ」を満たすには無理があるからです。事実、介護者はこのジレンマの中でいつも揺れています。保険外サービスの拡充ならびに低価格化を目指すべきでしょう。