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徐福論 いまを生きる伝説 新典社選書14
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新典社/ |
発売年月日 | 2004/06/18 |
JAN | 9784787967640 |
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徐福論
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商品レビュー
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日本各地にて伝承される「徐福渡来伝説」、その歴史的変容と現在の様態を論じた書。文献資料と伝承地のフィールドワーク、双方の研究を通して、徐福伝説に託された人々の想いや「伝説」が持つダイナミズムを考察する。 本書は、『史記』に始まる徐福伝説、及びそこから派生した徐福日本渡来伝説の変容についてを解説した本である。内容自体は修士論文と雑誌論文のものを加筆修正したもので、内訳は以下の通りである。 ・「徐福伝説の創造と歴史的変容―福岡県八女市『童男山ふすべ』を通して―」(2002『愛知県立大学大学院国際文化研究科論集』第3号):第一章 ・「伝承主体の多様性―熊野市波田須の徐福伝説―」(2003『口承文藝研究』26号):第二章 本書の特徴は、従来までの民俗学ではあまり取り上げられてこなかった徐福伝説をあえて取り上げることで、これまでの伝説研究の方法論の見直しを行うことにある。著者は文献資料に記述される徐福伝説の姿と並行して、(徐福の商品化をも含めた)伝承地での現在の語りの姿を紹介している。そこでは文字記録としての伝説をあまり重視せず、専ら古老といった「伝説の管理者・伝承者」を伝承主体としてきた従来型の方法論では取りこぼしてきた伝説のダイナミズムや、伝承主体の多様性が活写されている。徐福伝説は時代の要請に従って様々な変容を為しており、また現在においても地方自治体や郷土史家等多様な伝承主体を通して伝説の実践が行われていると著者は指摘している。 本書において特に印象に残ったのは、そうした徐福伝説の現在の例として挙げられた福岡県八女市山内の「童男山ふすべ」の紹介である。この祭りは江戸時代より伝わる徐福ゆかりの行事として、地元の小学校や郷土研究会主体で執り行われている。しかし著者の調査の結果、現在の祭りの形式は遡っても戦後より始まったこと、徐福と結び付けられるふすべ(火を起こして煙を立てること)は元来徐福伝説とは別系統のものであること、更には紙芝居を通して語られる徐福伝説も元来伝承されてきたものとは異なり(道徳教育・郷土愛奨励を念頭に置いた)改変・創作が為されているということが分かった。まさに典型的とも言える「作られた伝統」ではあるが、著者はその正誤を論じようとするのでなく、寧ろそうした語りが地元では「昔からの伝説」として根付いていること、虚構を乗り越える伝説のダイナミズムがそこにあることを指摘している。「作られた伝統」と聞くと歴史的・学問的な立場から「虚構」「欺瞞」として否定的に受け止められがちであるが、それもまた(地域社会やそこに生きる人々が何らかの要請に基づいて生み出す)伝説の新たな姿ではないのか、ただ一概に否定して終わりにするべきなのか、ということを読んでいてて考えさせられた。 徐福伝説そのものというよりかはその変遷を主に取り扱っているので、各地の伝説についての紹介は(多くの伝承地を紹介しているとはいえ)やや物足りなく感じられた。また柳田国男の徐福言説を通して伝説の枠組みを論じる部分はもう少し説明・解説が欲しかった。とは言え全体的には満足のいくものであり、徐福伝説の多様性と「伝説」そのもののダイナミズムに触れられる良書であるといえる。
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