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知られざる源氏物語 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2005/12/12 |
JAN | 9784061597396 |
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知られざる源氏物語
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知られざる源氏物語
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商品レビュー
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源氏物語、これは逆説めいたタイトルで、実際は、源氏の君が与えた全ての絶えなきエロスの行方、ではないだろうか。源氏が振る舞った出来事としての物語は、人間の類型的な一つの人生に過ぎない。逆に源氏から放たれた業の数々、恋心を寄せた女たちの心の内幕、神仙世界から受けた霊験などが、主人公を...
源氏物語、これは逆説めいたタイトルで、実際は、源氏の君が与えた全ての絶えなきエロスの行方、ではないだろうか。源氏が振る舞った出来事としての物語は、人間の類型的な一つの人生に過ぎない。逆に源氏から放たれた業の数々、恋心を寄せた女たちの心の内幕、神仙世界から受けた霊験などが、主人公を離れて独自の世界観を形成しているように見える。「光の君」など神性を帯びる意味を付された登場人物や、彷徨の苦しい試練に込められた隠喩、愛した女性たちを花など自然の形象に喩える神話的な発想すべてが、紫式部の中にある豊かな精神性を物語っている。西村氏自身の説に依ると、執筆順序の謎として、冒頭近くの「箒木」の章が、執筆の最後に割り込みで挿入された可能性があるとの事らしい。作品が冒頭から最後まで、順序通りに執筆されるとは限らない編集意識といったものが、凡そ千年位前の「源氏物語」執筆当時にあった証となるだろう。西村氏は様々な学説を分かり易く紹介する。折口信夫「いろごのみ、貴種流離譚」説、本居宣長「もののあはれ」説など。そして、王権の変遷を「とのうつり」と呼び、独自の視点も明示する。源氏物語の尽きない魅力を伝える稀有な入門書だと思う。
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折口学の立場からの源氏物語論。 悪文・誨淫の書という非難に対する反論に始まり、 「いろごのみ」「つままぎ」「貴種流離譚」などの語彙を用いて、 紫式部が無意識に物語の約束事として取り入れた部分も含め、 その創作の手法を解き明かしていく。 個人的に興味深かったのは源氏物語が古今集の...
折口学の立場からの源氏物語論。 悪文・誨淫の書という非難に対する反論に始まり、 「いろごのみ」「つままぎ」「貴種流離譚」などの語彙を用いて、 紫式部が無意識に物語の約束事として取り入れた部分も含め、 その創作の手法を解き明かしていく。 個人的に興味深かったのは源氏物語が古今集の強い影響下に書かれたとする章。 枕草子の類聚的章段(山は~などのもの尽くし)は詠歌のための一種の百科事典である、 多くの主要人物が秋に亡くなるのは古今集の自然観人間観を踏襲している、 藤壺の死は「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」という引歌のため それに合うように春に設定されたなどの指摘が刺激的。 苦悩する源氏と対峙する強さが作者にも必要であったと若菜上下を最も評価し、 源氏に対する距離の取り方や文体から紫式部以外にも複数の作者を想定する。
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