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バシュメット/夢の駅
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | アルファベータ |
発売年月日 | 2005/05/31 |
JAN | 9784871987080 |
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バシュメット/夢の駅
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20世紀は5人の偉大なヴィオラ奏者を輩出したという。パウル・ヒンデミット、モーリス・ヴィユー、ヴァディム・ボリソフスキー、ライオネル・ターティス、ウィリアム・プリムローズである。 ユーリ・バシュメットも恐らくそこに加えられていく人であろう。チェロにおけるカザルスに比肩する声も...
20世紀は5人の偉大なヴィオラ奏者を輩出したという。パウル・ヒンデミット、モーリス・ヴィユー、ヴァディム・ボリソフスキー、ライオネル・ターティス、ウィリアム・プリムローズである。 ユーリ・バシュメットも恐らくそこに加えられていく人であろう。チェロにおけるカザルスに比肩する声もあるが、どうだろうか。最近は彼もヴィオラを弾き飽きて指揮に力を入れているようで、ロストロポーヴィチといい、優れた器楽奏者の一部には指揮のほうが面白くなってしまう人たちがいる。音楽が溢れてヴィオラだのチェロだのという楽器の容量を超えてしまうのだろう。 「夢の駅」というのはバシュメットがパーソナリティを務めるロシアのテレビ番組の名前らしい。本書『夢の駅』は彼が生い立ちを語ったり、周囲の偉大な音楽家たち──リヒテルやロストロポーヴィチ──について語ったりした自伝的な手記である。バシュメットなら本を読むよりCDを聴いたほうがいいと、しばらく放っておいたが、読み出すとこれは面白い本であった。 1960年代のロッカーみたいな長髪で深刻な顔をして、演奏するとやたら遅いテンポで深遠で、いったいどんなやつだと思っていたが、本書を読むと相当に陽気でユーモラスな好人物と思われる。ソヴィエト時代の不愉快で苦労に満ちた話題も多々あるのだが、バシュメットは肩をすくめながらユーモアをまぶしてやり過ごしている感じ。ヴィオラのソリストという開拓者の茨の道を歩いてきた人のはずなのだが、そこで流されたであろう血と汗はどこかに吹っ飛んでしまっていて、読んでいてとても明るく気持ちがいい。 小さい頃からヴァイオリンは習っていたが、本当はギターの方が好きで、ギターをやらせてもらうために「ヴァイオリンがんばるから」ということで上達したらしい。優れた音楽家を作るのは母親だとかいう誰かの台詞も出てくるのだが、バシュメットの母親もうまく彼をのせたというべきか。しかし、まさかヴィオラの巨匠になるとは思わなかっただろう。ヴィオラに転向したのも、音楽院にはいるときヴィオラの枠なら空いているというのと、「ヴィオラなら練習が少なくていいからギターの練習ができるぞ」というありがたい先輩の忠告があったからだとか。偉大な人物は巧まずして行き着くべきところに行き着くとみるか、人生なんて偶然とみるか。 学生の飲酒にいきり立つ教授会でのロストロポーヴィチのおかしな発言とか、他人の話題もユーモラスなものが多く、ロシアのアネクトードの系譜をバシュメットも継承しているといえよう。
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