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オリエンタリズムの彼方へ 近代文化批判 岩波現代文庫 学術119
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 2004/04/16 |
JAN | 9784006001193 |
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オリエンタリズムの彼方へ
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本書は近代世界を規定する「近代性」という特殊な価値体系をもった「思想」の形態を、ウェーバー、フーコー、そしてサイードの理論に依拠して批判的に論じたものである。この「近代性批判」の延長として、近代日本国家の屈折した在り方をも明確かつ鋭利に抉り出す名作だ。 近代性に基づく世界とは、...
本書は近代世界を規定する「近代性」という特殊な価値体系をもった「思想」の形態を、ウェーバー、フーコー、そしてサイードの理論に依拠して批判的に論じたものである。この「近代性批判」の延長として、近代日本国家の屈折した在り方をも明確かつ鋭利に抉り出す名作だ。 近代性に基づく世界とは、ある一点を基点として碁盤状に整然とかつ無限に広がる、西洋絵画における遠近法に基づいた視覚空間に例えられる。このような世界においては、時間、空間、身体でさえ規律的な支配の秩序に組み込まれる。この変化をもたらしたものは、学校、軍隊などの諸規律装置なのであった。 この近代性をウェーバーはマクロな視点から、フーコーはミクロな世界からこれを描き出したが、前者の「鋼鉄の檻」、後者の「権力の網の目」という語はこのにそれぞれ対応するものといえよう。 そして、近代的知の支配のシステムとしてサイードの「オリエンタリズム」理論が参照されるが、近代性が植民地主義を必然的に含んだ(他者支配のための)権力的言説体系の根幹を成していることが示されるのである。ここで解剖されるのが、近代日本における「オリエンタリズム」だ。 他のアジア諸国に先駆けて「近代化」した日本は、一方では西洋列強と肩を並べる「先進国家」として、そして帝国主義勢力の一員として振舞いつつも、他のアジア諸国に対しては「同胞」であり、「領袖」であるという立場を取ったのだった。 これが一方では帝国主義的侵略を強力に行いアジア諸国を植民地化ながらも、同時に彼らを西洋帝国主義から「解放」するという究極の二重基準を(絶対無などの神秘的修辞で表象された)現人神天皇、そして(八紘一宇などの融通無碍な理論を主柱とした)皇国日本というイデオロギー体系の総動員によって強引な解決を図るらせるに至った。 このような近代性批判の後には一体何がなされるべきであろうか?無論これが東洋の精神主義などの密教的修辞による近代の超克であろうはずはない。 端的に言って、近代性、またそれと不可分である近代的知の体系により齎された害悪は、修正された新たな「知」でもってあたる他はない。「未完のプロジェクト」としての「近代」は現在においても、その秘められた可能性が掘りつくされたとは到底言えず、常に開かれた世界をわれわれに提示し出し続けるのだ。
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