女子高生のための大学選び 就職で泣かない！

山崎理佳(著者), 笹幸恵(著者)

• 販売会社／発売会社: 主婦の友社/
• 発売年月日: 2004/07/01
• JAN: 9784072434581

商品レビュー

2012/06/30

　まるで、一般企業に就職することだけが、幸せの途といわんばかりの言動。この本が書かれたのが、８年前とあって、その当時の状況もあるだろうけれど、果たして本当に一般企業にだけに就職することが、幸せなのか。たとえ就職出来ても、就職してからの方が大変な場合も多いだろう。それに、現在の場合、過度の就業による過労死や鬱などの問題もあるだろう。それに、就職といっても、それだけが人生の総てといったような価値観に疑いを持っている人も大勢居るだろう。

　何が幸せの途なのか。何が自分に取っての幸せなのかは、周りの人間が決めることではない。偏差値ではなく、それぞれの価値観を認めるのなら、この本で出てくるような進学率のデータや、就職率のデータ、またはフリーター経験者の年収と、一般企業を謳歌する人のデータを比べて、あたかも、一般企業に勤めるのが、幸せかのように煽るのは如何なものだろうか。著者の経歴と、職業を見てみれば、そうした方が、彼女らに仕事が舞い込んでくるとの事での、煽りのなのかもしれない。たとえ、年収が低くても、それなりの生活を成り立たせ、更には、子供を授かって暮している人もいる。それに、お金がなくても、現状の生活に満足している人たちも大勢いる事も知っている。問題なのは、こういう人たちを指差して、現役の学生に、恐怖と不安を煽る経済界の人間達の、一般企業就職を迫る、脅しなのではないだろうか。

　なぜ、そんなにお金を稼ぐ事だけが幸せなのだろうか。なぜそんなに、一般企業だけに就職する事だけが幸せといえるのだろうか。現在なら、一般企業だけでなくても、様々な働き方が出来るような仕組みがたくさんある筈だ。そういう、働き方をする人に後ろ指を指し、現役学生に、あたかも、そういう人たちが不幸であるかのように、洗脳する事こそが、本当の不幸ではないか。