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狂気
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狂気

ハジン(著者), 立石光子(訳者)

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狂気

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2004/09/15
JAN 9784152085900

狂気

¥1,375

商品レビュー

3.3

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2025/01/08

今一つ、「移民文学」というカテの名前にしっくりこない・・特に、このハ・ジン氏。 凄すぎる・・と思ったら、巻末解説にもそのことを述べていた。 渡米して20年も経ずに、この作品を書き上げた!のである。 彼は2000年には全米図書賞もゲットしている。 移民文学と言えば在米でジュンパ・...

今一つ、「移民文学」というカテの名前にしっくりこない・・特に、このハ・ジン氏。 凄すぎる・・と思ったら、巻末解説にもそのことを述べていた。 渡米して20年も経ずに、この作品を書き上げた!のである。 彼は2000年には全米図書賞もゲットしている。 移民文学と言えば在米でジュンパ・ラヒリを思い浮かべるが、彼女はネイティブ的に英語を使ってきた。 当作は2004年刊行。 2作目のハ・ジン作を手に取る・・移民文学と言えば、渡米して「故郷と新たな地での文化摩擦」的なものだと認識していた私。1作目の「素晴らしい墜落」はそうしたところを闊歩、あるいは懊悩する人間心情を描いていた。 だが、これは全く異なり、終始、中国の話・・アメリカはかけらも出てこない。 「狂気」の症状がさく裂した恩師であり、恋人の父 楊先生に付き添う日々が内容の大半・・中身は虚言・妄言の極みつけ。 中国人の生活、学閥、結婚問題、恋愛関係、ひいては不倫から自尊心、侮蔑、やっかみ。。なんでもありぃとばかり噴出。 至るところに文学の教養の香りもばらまかれ、流石の展開。 突出した場面は ①同級生の為に調査書を貰いに行った極めつけの寒村  そこで見た人間の最低すれすれの生活 ②大学近くの食堂で見た女将と若者が客の申し出に取った殺人行為すれすれの蛮行 ダンテの「神曲」、杜甫の詩歌、毛沢東語録等が飛び交うクライマックスは天安門事件。 中国の若者が進むべき道程を見失った瞬間が壮絶・・ 実はその先がもっと凄かった。 ハ・ジンが描く中国インテリ層のリアル。 「満漢全席」の様な「狂気を通してみた中国知識層の傷」は日本人の想像をはるかに絶していると感じた。

Posted by ブクログ

2013/09/04

 いい小説の条件のひとつに、きちんと社会的背景が織り込まれていることが挙げられると思う。あまり、歴史をちゃんと勉強してこなかった私だが、この作品を読むことによって、天安門事件前後の中国のごく普通の人々(といっても主人公は大学院生なのでかなりエリートだが)の生活感覚を知ることができ...

 いい小説の条件のひとつに、きちんと社会的背景が織り込まれていることが挙げられると思う。あまり、歴史をちゃんと勉強してこなかった私だが、この作品を読むことによって、天安門事件前後の中国のごく普通の人々(といっても主人公は大学院生なのでかなりエリートだが)の生活感覚を知ることができた。たとえば、共産党に対してのリアルな距離感とか。  この作品のおおきなウエイトを占めるのは、主人公が、彼の婚約者の父であり、指導教官でもある教授の妄言を聴き続けるというシーンである。教授は高い業績を残し、指導熱心な人物であったのだが、脳の血管を詰まらせ倒れてしまい、そのときから本心(と主人公が解釈する)がダダ漏れの独り言を病床でつぶやき続けるようになる。  このことが引金となり、主人公は将来に疑問を抱き、大きく人生設計を変えることになる。が、彼の決断は困難からの単なる逃げなのか、それとも一理ある行動だったのか、なんともはっきりしない。しかし、そのグレーゾーンこそに、大義名分と私的な動機の間に揺れ動く心情の本質が描かれている気がする。

Posted by ブクログ

2013/02/10

自分の婚約者の父でもあり、大学院の指導教授でもある「楊先生」が脳血栓で倒れ、その看病を言いつけられたことから、主人公の人生に大きな転換が訪れる・・・。 正気を失って、自分の過去をうわ言で叫び続ける教授に、ただただ唖然として、ショックを受け、結局人生を誤ってしまう(?)主人公の純...

自分の婚約者の父でもあり、大学院の指導教授でもある「楊先生」が脳血栓で倒れ、その看病を言いつけられたことから、主人公の人生に大きな転換が訪れる・・・。 正気を失って、自分の過去をうわ言で叫び続ける教授に、ただただ唖然として、ショックを受け、結局人生を誤ってしまう(?)主人公の純朴さと、先生の恥も外聞もないうわ言の掛け合いがなかなか面白い。 この主人公、主体的に動いているようで、常に大事な意思決定や運命が他人に握られてしまっている、いかにも小市民。 進路は先生のうわ言に惑わされ、結果婚約者を失い、自暴自棄になって天安門事件に関わって学校を追い出される。そんでもってその一連の流れも、大学の学部長と書記の陰謀のうちという切なさ。 そうとぼんやり気づいても、主人公は立ち向かうでなく、ただただ受け身になりながらどうにか事態を改善しようとするも・・・すぐに状況を受け入れてしまう。 自分の人生を問い直す男の旅立ち・・・と帯に銘打っているが、そんな立派な旅立ちじゃありゃぁしない。 でも人生って、いつでも予想外のイベントで思いもしない方向に進むもの。実際は自分で運命を切り拓くなんて格好いい人間は少数で、世の中こんなもんなのかもしれない。

Posted by ブクログ

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