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アレント政治思想の再解釈
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 未來社/ |
発売年月日 | 2004/10/12 |
JAN | 9784624301002 |
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アレント政治思想の再解釈
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現在のアーレント解釈の標準理論となるものかな? カノヴァンは、アーレントに関する最も初期の概説書である「ハンナ・アレントの政治思想」を書いた人。 ほんとに要領良くアーレントの複雑に込み入った議論をまとめたうえで、その思想を評価しつつも、一部では、疑問、批判を投げかけていて、そ...
現在のアーレント解釈の標準理論となるものかな? カノヴァンは、アーレントに関する最も初期の概説書である「ハンナ・アレントの政治思想」を書いた人。 ほんとに要領良くアーレントの複雑に込み入った議論をまとめたうえで、その思想を評価しつつも、一部では、疑問、批判を投げかけていて、その多くのポイントはだれもがアーレントを読むときに感じるだろうことで、その議論の率直さには共感できるものだった。 が、74年という時点では、アーレントは存命で、「精神の生活」をはじめとする遺稿はまだでていない。 アーレントは、結構、批判的な「ハンナ・アレントの政治思想」を気に入ったらしく、自らカノヴァンにコンタクトして文通もしたらしい。 そういう経緯もあったのか、カノヴァンは、もう一度、アーレントの「再解釈」に挑むことになる。この時点では、アメリカの国会図書館にあるアーレントの未発表の遺稿も読んだ上で、アーレントを外側から批判的に読むのではなく、アーレントのテキストを内在的に読むことで、一見、バラバラにみえるアーレントの思想を一貫性をもって解釈している。 「歴史学」として、「全体主義の起源」を読むと、かなり問題のある議論で、アーレントの著作としては、「人間の条件」を中心におくことが当時スタンダードで、カノヴァンの最初の本でのスタンスはそういう感じであった。 が、この本では、「全体主義の起源」を起点におきつつ、それと「人間の条件」の間でなされていたマルクスの研究、そして、「人間の条件」と「革命について」の間でなされていた政治学の研究という結局は出版にいたらなかった研究をおくことで、アーレントが考えていたことをかなりの一貫性をもっての解釈に成功している。 本のなかでは、「アーレントによると、・・・は、・・」みたいな表現がたくさんあって、たとえば、カントとか、マルクスについて言及するときに、アーレントはかなり独創的な解釈をしていて、それは多分研究者からすると強引なものであろうが、そこに脇においといて、アーレントがなにを考えていたのか、という思考の流れを浮かび上がらせようとしている。 その結果、浮かび上がった思想は、というと、ここでコメントできるほど単純なものではないのだが、やはりアーレントにとって、全体主義が一貫したテーマとしてあって、それはどうすれば避けられるだろうかということに集中していたということに尽きるのかな? アーレントは、現実の社会で起きている事件などに関するコメントやレポートで、しばしば物議を醸してしまうのだが、それは彼女の文章のスタイルが皮肉ぽく上から目線な独特の調子があって、それに普通の人は怒ってしまうという構図がある。でも、その背景には、全体主義との関係があることを踏まえると、それなりの一貫性、徹底的に自分の頭で考え続けている誠実さがあることがわかる。 だからといって、現実的な問題に関するアーレントの見解に同意する必要はないし、彼女の思想を受け入れる必要もない。そして、アーレントもそんなことを望んでいるわけではない。 とにかく、人間は一人一人がいて、その多数性からのなにか新しいものの始まりを求めた人なのだから。 そういう観点では、アーレントを一貫したものとして解釈したこの労作も、一つの解釈であって、これを乗り越える議論が沸き起こるということが大事なんだと思う。
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ハンナ・アーレントの代表的研究書。未公刊資料なども駆使しながら、全体主義との対決がアーレントの思想の基調をなすと主張する。そのため、『全体主義の起原』の解釈に始まり、その中でアーレントがマルクス主義の問題に着目したこと、それが『人間の条件』における労働の考察に結実していることが示...
ハンナ・アーレントの代表的研究書。未公刊資料なども駆使しながら、全体主義との対決がアーレントの思想の基調をなすと主張する。そのため、『全体主義の起原』の解釈に始まり、その中でアーレントがマルクス主義の問題に着目したこと、それが『人間の条件』における労働の考察に結実していることが示される。さらに、『人間の条件』における活動論に始まる彼女の思考が、留保がつくとはいえ、古典的共和主義の系譜に連なっていること、しかしその中で哲学と政治の相性の悪さについて思考を深めていったこと、が時系列的に明らかにされている。アーレントの考察は多岐にわたるため、なかなか基本線がどこにあるのかがわかりにくいが、この研究はその点を明示してくれているという点で、非常に有益である。また同時に、アーレントの試行錯誤の過程が克明に描かれており、彼女の思考を理解するうえでの困難さも感じさせてくれる。
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最初にアレントが市民権と民族的アイデンティティとの違いに気づいたのは個人的経験である。というのは、ナチの政権奪取を生きのびたドイツ・ユダヤ人は誰でも初めてドイツ市民だったが、その後、法的市民権は血と土という民族的共同体に属していない人にとっては無意味であるということを発見したから...
最初にアレントが市民権と民族的アイデンティティとの違いに気づいたのは個人的経験である。というのは、ナチの政権奪取を生きのびたドイツ・ユダヤ人は誰でも初めてドイツ市民だったが、その後、法的市民権は血と土という民族的共同体に属していない人にとっては無意味であるということを発見したからである。しかし多くの湯田や人がこの経験から引き出した結論は、彼女のものとは全く異なっていた。ドイツの民族共同体に属していない人びとは市民としてのいかなる権利も、たとえ生きる権利さえももたないとということを目の当たりにしたことによって、彼らは市民的権利と民族共同体はっ不可分であり、彼ら自身の民族国家においてのい彼らは安全を確保しうるというシオニスト的信念に自然に行き着いた 。
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