民主主義の未来 リベラリズムか独裁か拝金主義か

ファリード・ザカリア(著者), 中谷和男(訳者)

• 販売会社／発売会社: 阪急コミュニケーションズ/
• 発売年月日: 2004/08/26
• JAN: 9784484041193

商品レビュー

2012/03/23

今日の資本主義の特徴は、資本主義が大衆のものになったこと。
19世紀にはイギリスとドイツの大学では人類の業績が最も花開いたのは西暦5世紀ごろのギリシャ都市国家だと教えられていた。オックスブリッジでは、古代ギリシャ・ローマ研究は今でも人文課程としてGreats（偉大なもの）と呼ばれている。

1648年という年は宗教と国家が分離した転機の年であり、西洋の歴史における重要な転換点だった。欧州は精神的にはカトリック教会、世俗的には神聖ローマ帝国によって統治された単一のキリスト教共同体であるという概念にウェストファリア講和条約は終止符を打った。

1500年に西方教会と東方教会を分けた境界線が現在でも自由化に成功した国と失敗した反自由主義な国とに分けている。

ロシアの基本的な問題は近代化に必死な貧困国ではなく、むしろ近代化のために苦闘する豊かな国であるということ。

ここ30年で人口が2倍に膨れたカリフォルニアだが、カリフォルニア大学は新しいキャンパスを設置していない。刑務所は20も増えた。

2010/10/19

この本に2,500円の価値はあるのだろうか。
著者の主張。それは、民主主義は立憲的自由主義の上に築かれなければ失敗する。つまり、立憲的自由主義が民主主義を成功させるということ。
米国は、個人の自由を守るために法の下の平等、公正な司法制度や裁判、国家と宗教の分離などを重視してきた。
しかし、これらの政治制度がポピュリズムを蔓延させたのは紛れもない事実であり、結果、カリフォルニアの住民投票に見られたような直接民主主義を求める風潮を生んだ。
必ずしも立憲的自由主義が民主主義の基礎になるとは言えない。
筆者の主張に賛同できず、読むのが辛かった。
ゼミの課題図書でなければプロローグで放置していたであろう一冊。

2010/02/14

雑誌『ニューズウィーク』国際版編集長が、現代の民主主義のあり方に異議を申し立てた著作。古典的自由主義の復興を提唱しており、アメリカの正統派保守的エリートの考え方を理解するうえで有用。