方舟は冬の国へ 長編本格推理 カッパ・ノベルス

西澤保彦(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 2004/08/25
• JAN: 9784334075743

商品レビュー

2010/05/28

ストーリーのテーマは…

[文庫ＯＦＦ]

ストーリーのテーマは「かりそめの家族・偽りの夏休み」主人公の和人は　職探し中に妙な男に声をかけられ　一月の間　別の名前を名乗り見知らぬ女性と少女と家族を装って　盗聴器と監視カメラのある家で生活して欲しいと　破格なバイト料を提示され　引き受けるワケです。それだけでも不可解なのに　さらに不可思議な現象が起こって・・・　ラストも悪くなないんだけど・・・・・うーん(TωT)　納得できないって程ではないし　物語の破綻もしてないケド。最初に勢いに比べ　やや失速した感じは否めないカナ？？

2024/02/01

高い報酬と引き換えに
疑似家族を演じることになった「信明」
同じく妻役の「栄子」
娘役の「紗栄子」とともに
どことも知れぬ一軒家で夏休みを過ごす。
この家にはあらゆるところに
監視カメラと盗聴器が仕掛けられていて
彼ら三人はその向こうの何者かに対し
バレないようにしなければならないのだ。

という、ちょっと不思議な物語。
「信明」もしばらくして疑問を持つけど
そもそも誰が何のために監視しているのか？
監視者に「本物」がいると思わせて
どんなメリットがあるのか？

そんな謎解きよりも
（そもそも途中ちょっとＳＦ要素も入るし）
赤の他人がだんだん親密になっていく
ハートウォーミングなおはなしとして
楽しく読みました。
ハッピーエンドだしね！

2016/11/08

再就職先がなかなか決まらない和人が依頼された仕事は、ある別荘にこもって擬似家族を演じることだった。
初対面の女性と少女と共に、家族として別荘で滞在を始めると不思議な現象が次々と起きる。3人は次第に愛を深めていくが、この仕事の裏には壮大な計画が隠されていた。

家族を題材にしたヒューマンドラマでもあり、日常の謎を扱うミステリでもあり、また途中からはSFに寄せたアプローチがあるという、いろんな面が混在した不思議な感触の物語でした。
いろんな要素が詰まっているのにちぐはぐさは無く、絶妙なバランスを保っていて、全てうまく同居しています。

そういった構成なので物語の着地点が見えてこず、結末まで予想不可能。
最後まで心地よい緊張感の中、魅せられました。

切なく優しい余韻を残すお話でした。