ボヌール・デ・ダム百貨店 デパートの誕生 ゾラ・セレクション5

エミール・ゾラ(著者), 吉田典子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 藤原書店
• 発売年月日: 2004/02/28
• JAN: 9784894343757

商品レビュー

2025/01/19

デパートというものが誕生し、それまでの形態のお店が競争に負けていく。そんな過渡期のパリで、弟2人を抱え働くことになった主人公の女の子、ドゥニーズ。お世話になる親戚の家はまさに百貨店のせいで危機に立たされ始めるお店で、彼らはボヌールデダム百貨店を憎らしく思うけれど、ドゥニーズの受け取り方は少し違っていて…。
話が進むにつれドゥニーズの立場は心境とともにややこしくなるが、そこがリアルでおもしろい。
ドゥニーズは、弱そうなのに芯を持って聡明で、とても応援したくなる…！
お仕事小説的な面もあるし、恋愛要素もある。
百貨店の描写が細かくて見事。
600ページ以上の大作だけど、半分くらいからおもしろくて夢中で読めました。

2024/08/13

この作品はフランス文学者鹿島茂氏の『 デパートを発明した夫婦』 で参考にされている物語です。 ゾラは現場での取材を重要視した作家で、この小説の執筆に際しても実際にボン・マルシェやルーブルなどのデパートに出掛け長期取材をしていたそうです。 この本を読むことは私たちが生きる現代社会の成り立ちを知る手助けになります。 もはや街の顔であり、私たちが日常的にお世話になっているデパートや大型ショッピングセンターの起源がここにあります。 非常におすすめな作品です。

2023/02/25

長い……厚い……と思ったけれど、挿絵も適度に入り19世紀の生活がわかって面白かったし、ドゥニーズの実直な働きが認められるストーリーが痛快で、ディテールを読み込まなければそんなに辛くなかった。(ジャン、調子いいんだから……)
解説(女性を食う機械たるデパートと、最後には愛する女性に征服されるムーレの対比)を読んでなるほどなーと、フランスにおける女性の賢い生き方のようなものは『フランス人の性』で読んだばかりだったので、なるほどと思った。