BIG HUG 長崎レイン

安希(著者)

• 販売会社／発売会社: かんぽうサービス/かんぽう
• 発売年月日: 2004/03/01
• JAN: 9784900277403

商品レビュー

2010/03/27

9.11同時多発テロ直後、カリフォルニア大学で行われたchallengingでエキサイティングな授業がある。テロ直後の被害と衝撃、悲しみに沈むアメリカ国内で、多国籍の学生たちが与えられたテーマは「アメリカが半世紀前に攻撃した日本、そして長崎の原爆被害。」という創作舞台劇。
詩の朗読あり、創作ダンスあり、歴史説明あり、俳句あり…。

学生たちはみな、様々な民族・宗教・価値観を持ち、長崎原爆、国際テロ、イラク問題、日韓の軋轢、民族問題等々、幅広い課題を議論し内容もイチから自分たちの手で構成していく。
その中でぶつかり合い、泣いたり笑ったりしながら、まさに「国境を越えた」友情を築いていく。

異なる見解と、真剣に向かい合うこと。
立場の異なる人、みな普通に感情のある人間であること。
批判したり、利害を考えたりすることよりも、互いが互いを思いやるということ。
なんて労力と時間を使う、だけど素敵なそして人間くさい、プロジェクト！

本の表紙の帯に書かれていた、この文章。

「もし日本に原爆が投下されなかったら、私の祖母も叔母も日本兵に殺されていた。そして、私は今、この場にいることはできなかった」涙を流しながらそう叫ぶデボラの声が、リハーサルホール一杯に響き渡ったとき、私の中の何かが音を立てて崩れ始めた。

この文章に深く、深く、考えさせられます。