日本論

姜尚中(著者), 佐高信(著者)

• 販売会社／発売会社: 毎日新聞社/
• 発売年月日: 2004/02/15
• JAN: 9784620316543

商品レビュー

2012/06/21

いろいろとバッファがかかった部分があると思うし、その点に関して言及することはいろいろと面倒なことになるので自分の中にしまっておくのが無難な気がします。
が、村上春樹や吉本ばななの作品に対して若いころに感じた違和感を、自分以外の人が感じているということに妙な安心感を得たということは、書いておいても害はないのかなと思います。
村上春樹にせよ吉本ばななにせよそこに登場する人物は「民族」や「人種」を感じさせないしおそらく登場人物の誰も「自分が日本人である」が故の苦悩とは無縁に見えて奇妙だったりします。
そうやって村上春樹や吉本ばなながスルーし、いわゆる「ハルキスト」が現実逃避的にスルーした問題が「日本人とは？」という問いになろうかと思います。
そして、ハルキストがスルーした「日本人とは」という問いに対して異常な執着心を示すのもまた日本人だというのが、これまた奇妙な話ですが。
それともうひとつ害がなさそうなところでいえば、この本で丸山眞男や川島武宜に対する抵抗感がかなり薄れたので、法学部生のうちに読んでおければよかったのになと思います。