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野生馬の谷(下) エイラ 地上の旅人4
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ホーム社/集英社 |
発売年月日 | 2004/12/20 |
JAN | 9784834251081 |
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野生馬の谷(下)
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商品レビュー
3.4
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
同族を探す旅に出なくてはいけないことが分かっていながら、彼らに拒絶されたらという不安から旅立てないエイラ。 エイラより一足早く群れに戻ったウィニーだったが、連れ合いを亡くし、お腹に子を宿した姿でエイラのもとに戻ってくる。 しかし、今度はベビーが一匹の雄ライオンとして巣立っていったのだった。 ウィニーやベビーと共に暮らし、安らぐ日々を送ってはいるものの、人と暮らせない寂しさは募る。 ネアンデルタール人はあまり言葉を発しはしないけれど、しぐさを含めた会話があり、仲間と認め合い、助け合う暮らしが人間には必要ということ。 そんな時、旅をしていたエイラと同族の兄弟がベビーの棲み処に忍び込み、弟のソノーランは即死、兄のジョンダラーが瀕死の状態でエイラに発見される。 初めて見る異人の男。 自分に似て金髪、青い目、高身長。 惹かれあうエイラとジョンダラー。 しかし言葉や風習の差が、ふたりの理解を妨げる。 そして、ジョンダラーたち(クロマニヨン人)がエイラの氏族(ネアンデルタール人)を獣として、忌むべき汚らしい存在として認識していたことが分かり、大いに傷つくエイラ。 それでも互いを愛し必要とする彼らは、ネアンデルタール人も独自の文化や宗教・風習を持った人間であること、エイラの持つ技能はクロマニオン人よりも優れている部分が多々あることなどを認め合い、ついに二人は結ばれる。 ジョンダラーが、自分たちは獣を忌むべき汚らしい存在とは考えていないのに、どうして平頭(ネアンデルタール人)のことをそこまで拒絶するのかを考えるのが興味深い。 彼も思っているように、本音のところでは彼らを「人間」と思っているからこその拒絶なのではないか。 同族嫌悪みたいな感じ? ことばを持たないネアンデルタール人は、記憶力に優れていた。 今のホモ・サピエンスも、というかつい200年ほど前のアフリカなどでも、文字を持たない部族はすべてを記憶して伝承していたのに、宣教師から文字を教えられたことで、あっという間に歴史を失ってしまったというのは聞いたことがある。 そして今、幼いころからタブレットで勉強してきた世代の中学生たちの、学校での勉強が定着しないことが問題になっている。 楽をすることで失われることって、結構あると思うなあ。
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ようやく出会った二人。 話せるようになるまでとてももどかしかった。 話せない=人間じゃないっていう概念があんまり理解出来ない。
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エイラは男を見つめた。無作法だということはわかっていたが、そうせずにはいられなかったのだ。相手が意識を失ったり眠ったりしている間に観察するのと、こうして目を見開いているときに向かいあうのとでは、まったく違っていた。この人は青い目をしている!(123p) ついにエイラはジョンダラ...
エイラは男を見つめた。無作法だということはわかっていたが、そうせずにはいられなかったのだ。相手が意識を失ったり眠ったりしている間に観察するのと、こうして目を見開いているときに向かいあうのとでは、まったく違っていた。この人は青い目をしている!(123p) ついにエイラはジョンダラーに出逢った。思えば作者は周到な仕掛けを作って2人を遭わせたことになる。野生馬の谷の生活で、エイラが馬を育て、ライオンを育てたのも仕掛けだし、ジョンダラーの弟が常に旅の先陣を切り兄を谷に連れて来た段階でライオンに殺されるのも、「運命」という仕掛けを作っていたのだ。 それまでゆっくり流れていた物語が突然本流として流れだす。なんということか。この長い物語は、2人のラブストーリーである可能性が高くなった。それと同時にネアンデルタール文化とクロマニヨン文化の出会いと融合の物語なのかもしれない。 言葉を介さないで2人はお互いを観察する。エイラはジョンダラーの服が外衣に革紐を締めただけの簡素な服装とは違い、革や毛皮を切り分けた断片を糸でつづり合わせた複雑な構造を持っていることに気づく。ズボンも作っていて、服を二枚重ねしているのにも驚く。それは同時に私の驚きでもある。弥生人の服は簡素な貫頭衣という認識の私にとって、3万5千年前の新人の服がこうなっていて、尚且つ貝殻や骨や羽で模様をつけていたのだ。穴は石器や骨で穿ち、糸は動物の靭帯を使うのだそうだ。あり得るかもしれないが、すごい技術である。下手をすると、現代の服よりも豪華。 ジョンダラーはエイラの薬師としての申し分のなさに驚く。また、2人も気がついていないが、石を打って発火する方法や馬やライオンを家族として迎えているのを見て、エイラの中にクロマニヨン人をも超える才能があることに驚くのである(火打ち石と牧畜の発見)。 一冊の約半分をかけてお互い嫌われていると勘違いしながら、愛情を確かめ合うまでの経緯はもどかしいほどではある。17歳と21歳の2人の行く末はこれからも見守らなければならない。 2013年9月16日読了
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