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「作者」をめぐる冒険 テクスト論を超えて
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新曜社 |
発売年月日 | 2004/07/15 |
JAN | 9784788509047 |
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「作者」をめぐる冒険
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このタイトルで帯に「ノルウェイの森は豊穣の海のパロディだった?」と書かれているのだから、村上春樹作品に関する評論なのかと思いきや、取り上げられているのは漱石鴎外潤一郎に大江健三郎、大岡昇平、それに村上春樹と多岐に渡っていた。著者の弁を借りれば、本書は「日本の近・現代文学を対象と...
このタイトルで帯に「ノルウェイの森は豊穣の海のパロディだった?」と書かれているのだから、村上春樹作品に関する評論なのかと思いきや、取り上げられているのは漱石鴎外潤一郎に大江健三郎、大岡昇平、それに村上春樹と多岐に渡っていた。著者の弁を借りれば、本書は「日本の近・現代文学を対象として、その生成の機構を〈作者〉の側に比重をかける形で追ってみた試み」ということになるらしい。 どういうことなのかはよーわからんが、批評といわれるときに頭に浮かべがちな「作者はこうした体験を踏まえて、このような作品を作ったのである。そこにこめられたテーマはかくかくで」のような形式ではなく、全体に「こんな風に読めますよ。ほら、ここがこうなっていて、こっちがこうなっているでしょ」というような論で構成されている。それだけに「夢十夜」のようにもともとどうとでも読めそうなものに対する分析よりも、一見書かれたことの意味が把握できそうな作品の場合の方が、ビックリ度が高い。 こと驚かされたのは「ノルウェイの森」を論じた部分で、「豊穣の海」のパロディであるとは、ねじ巻き鳥クロニクルに対して言われたことじゃなかったっけか? と思いながら読み始めたところ、緑未来人説にぶつかり腰を抜かす。興味を持たれた方には本文に当たって頂くとして、「ノルウェイの森」にそんなSFアイディアが! と、唖然。しかも著者の論を読むと、意外にも「うーん、そうかもしれん」と思わされるので、二度ビックリである。 さらにはこの作品に秘められた謎についての考察もあって、秘められた謎とは他ならぬタイトルに関してのお話でなぜに「ノルウェイの森」は「ノルウェイの森」なのかという問題についてである。いわれるまで疑問にも思わなかった。何が謎なのかといえばなぜ「ノルウェー」ではなく「ノルウェイ」なのか、という部分で、ビートルズの曲名をパクッたからという回答は、「ビートルズ詩集」の同曲に与えられた訳題が「北欧調の部屋」であるところからも成立せず、一般にNorwayはノルウェーと表記される以上、ノルウェイの表記には必然がなければならないはずだというのが、著者の考えで、著者の辿り着く結論はNorway(北方の道)はNo way(行き場がない)を含意しているというもの。そうすると「ノルウェイの森」とは「どんづまりの森」というような意味を含んだタイトルとなり、「タイトルと中身の関連性はよくわからない」という川村湊などの疑問も一気に解決することになる。どん詰まりの森とは阿美寮を指しているのだ。いやこのタイトル解釈は素晴らしい。本当に村上春樹がそれを狙ってタイトルを付けたかどうかはこの際重要ではない。思いつきを作品の内部で補強して提出する手管が素晴らしいのである。ここに新たなノルウェイの森が生まれたと言っても過言ではないだろう。 あ、他の論文も面白いです。評論好きな人にはお勧めな本。
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