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源にふれろ ハヤカワ・ミステリ文庫
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源にふれろ ハヤカワ・ミステリ文庫

ケム・ナン(著者), 大久保寛(訳者)

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源にふれろ ハヤカワ・ミステリ文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房/
発売年月日 2004/07/15
JAN 9784151748516

源にふれろ

¥935

商品レビュー

3.7

10件のお客様レビュー

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2010/05/28

アイクは行方不明の姉…

アイクは行方不明の姉エレンを追って南カリフォルニアにやってきた。エレンを知る男たちに近づくためにサーフィンを始めるアイク。バイカーを率いる男に姉のことを相談したときから、アイクの周辺が次々と動き出す。南カリフォルニアの海を舞台に、青春、男の友情を絡め、成長していく若者の楽しくて懐...

アイクは行方不明の姉エレンを追って南カリフォルニアにやってきた。エレンを知る男たちに近づくためにサーフィンを始めるアイク。バイカーを率いる男に姉のことを相談したときから、アイクの周辺が次々と動き出す。南カリフォルニアの海を舞台に、青春、男の友情を絡め、成長していく若者の楽しくて懐かしいピカイチのハードボイルドサスペンス。多くの作家たちに絶賛されただけのことはある傑作。

文庫OFF

2023/08/16

”切ない小説だ。胸がキュンとなる小説だ。危険で、あやふやで、だからこそ、甘美な「青春」というものがここには鮮やかに描かれている。これはそういう青春小説の傑作である。”これは北上次郎さんの解説の冒頭である。 もうこれを見ただけで、この本を手にせずにはいられない。 そして、その通りの...

”切ない小説だ。胸がキュンとなる小説だ。危険で、あやふやで、だからこそ、甘美な「青春」というものがここには鮮やかに描かれている。これはそういう青春小説の傑作である。”これは北上次郎さんの解説の冒頭である。 もうこれを見ただけで、この本を手にせずにはいられない。 そして、その通りの傑作だった。 育った何もない砂漠の町から、姉を探しにサーフィンが盛んな海岸の町へという暗と明の対比が良くて、姉との思い出は砂漠にしかなく、暗いのだけど秘密めいていて。 主人公はビーチで友を知り、恋を知り、悪も知り、甘くて危険な沼にはまり、もがき続ける。その時、回想されるの姉とのエピソードが光る。よいですね、これが。 キラキラした青春じゃなく、ダーティーでエロティックでバイオレンスな世界ですが少年が苦悩しながら駆け抜ける感じがよいんです。 クライマックスが想定外のスケールでしたが、終わり方もよかった。絵にかいたようなハッピーエンドではなく、静かに一つひとつ片づけていく感じが沁みました。 巻末の北上さんの解説だけでも読みごたえありで、幸せになれます。 素敵な一冊でした。

Posted by ブクログ

2022/10/09

私はどっちかというと海よりも山派で、海には何の思い入れもない人間なんであるが、なぜかサーフィンをテーマにした映画や小説が大好きなんです。 自分でもまったく理由が分からないのだけど。 映画「ビッグ・ウェンズデー」や「ハート・ブルー」、ジョイ・ニコルソンの小説「波のかなた」とかもうめ...

私はどっちかというと海よりも山派で、海には何の思い入れもない人間なんであるが、なぜかサーフィンをテーマにした映画や小説が大好きなんです。 自分でもまったく理由が分からないのだけど。 映画「ビッグ・ウェンズデー」や「ハート・ブルー」、ジョイ・ニコルソンの小説「波のかなた」とかもうめちゃくちゃ好きで。 で、この本もAmazonのbotメールさんに勧められて以来、もうずーっと気になっていて、何度も何度もチェックしたあげく、とうとうポチってしまった。 わざわざ取り寄せてまで本を読まずとも、図書館には読んでいない本がうなるほどあるんだからそれを読めばいいじゃない、というタイプなので、私にしてはとても珍しいことなんですが。 おもしろかった。 イッキ読みするのがもったいなくて、ゆっくり少しずつ読んだ。 お姉さんの失踪に関する謎の真相は、私の期待のナナメ上をゆく変な展開で、なんだかとまどいだけが残ってやや不満だったが、それを補って余りあるほどに前半が良かった。 自分でもビックリしたのだが、読んでいて、19歳のころの気持ちがとても生々しくよみがえった。まるで、今、自分がまさに19歳であるみたいに。 青春時代の揺れ動く心がたくみに描けている、と感心する小説は世の中にたくさんあるが、自分自身の肌感覚が19歳に戻る、というのは初めてのことだったので、心底驚いてしまった。 田舎から都会に出ていって、孤独で混乱している主人公の様子が19歳の頃の自分と重なったからだろうか。 そういう単純なことでもないような気がするのだけど。 ああそうだ、19歳のときってこんな感じだった、と文字を追いながら、突然自分の中に荒々しく戻ってきたものをしばし楽しむ。 この感じ、なんだろう、今の年齢の私が見ている世界とは全然違っていて、色は同じなのにとても鮮やかで、鮮やか過ぎてしっくりこなくて、世界の方も私のことに興味がある感じ…などと、読む前は思い出すこともなかった(そして、特に思い出したいとも思わなかった)19歳の感覚。 「源にふれろ」という言葉は、登場人物の一人が特に深い意味もなく言い始めた言葉で、その後時を経て、今はすでに忘れ去られつつある時代を象徴するもの、という設定で書かれているのだが、でもその言葉の意味するところは、主人公はじめ、今も登場人物たちが深く心の底で求めていることでもある。たぶん、19歳のころの私もきっとそういうものを求めていたなぁ、などと思いながら読む。 日本語にするとあんまり詩的にならなくてピンとこない言葉なんだけど。 読み終わって不満に感じるのは、主人公とプレストンに、もっと二人でサーフィンについて語ってほしかったということ。 源に触れるということがどういうことか、もっと互いの思いを共有してほしかったなぁ。 これデビュー作じゃなかったら、もっとそこのあたりを深く描いてくれていたのかも、などと想像してみたりする。 でも、男の人って、互いにそういう気持ちを細かく説明し合ったりもしないよね。親友にも恋人にも。 私は現実世界でもいつもそこが不満だったりするんだけど(おもしろいこと考えてるくせに、なんで教えてくれないの~、と)、そこを説明し過ぎないことこそが生きることのおもしろさなのかなぁ。 アイクがダークサイドに堕ちていって、本当に大切なものを失ってしまうところは19歳あるあるだと思った。 あの喪失感。とてもリアルだった。

Posted by ブクログ

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