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死んでいる 白水Uブックス148海外小説の誘惑
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社/ |
発売年月日 | 2004/07/10 |
JAN | 9784560071489 |
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死んでいる
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商品レビュー
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海棲動物学者の夫婦が海辺で無惨な死体となっている場面から物語は始まります。 そこから夫婦の学生時代の出会いや、生前の夫婦の関係性など時間を遡り、非業の死を遂げるまでの道筋を妻の視点、夫の視点、そして殺人者の視点から描いていきます。 これら回想パートと海岸の死骸が腐敗し、海棲動...
海棲動物学者の夫婦が海辺で無惨な死体となっている場面から物語は始まります。 そこから夫婦の学生時代の出会いや、生前の夫婦の関係性など時間を遡り、非業の死を遂げるまでの道筋を妻の視点、夫の視点、そして殺人者の視点から描いていきます。 これら回想パートと海岸の死骸が腐敗し、海棲動物や昆虫に貪られていく現在進行形パートが交互に語られるのですが 克明に描かれた、刻々と変化していく死骸の生々しさと、生前の2人それぞれの人生の描写の対比が死の、そして生の無常を描き出しています。 後半ではどうやら両親に対して齟齬を感じて家を出た、スキンヘッドで派手な成りをした娘が出てきて、音信不通となった両親を探しに実家に戻ってくるんですけど、 発見された両親の遺体のとある状態を見て気付きを得るシーンがこの小説の小さな、そして唯一の救いとなっている気がします。 淡々とした、時に冷徹にも感じられる描写や、シニカルなユーモアに満ちた文体は少し読みにくさを感じる方もいるかもしれませんが、好きな人はすごく好き、な作家さんかなと。 今作はブッカー賞の候補にもなり、全米批評家協会賞受賞、ニューヨークタイムズ年間最優秀作品にも選出されてるんですよね。 読むのにちょっと体力?いるけど、こういうの好きかも!って方はぜひ読んでみてくださいませ!
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気付きにくいことだが、ありとあらゆる物事というのは実は不可逆である。あるていどの反復性によって「とりかえしがつく」と思い込んでいるだけのことだ。そんな無邪気な我々でも不可逆だとわかる最たるものは死だろう。死だけは本当に取り返しが付かない。 その、死について書いたものがた...
気付きにくいことだが、ありとあらゆる物事というのは実は不可逆である。あるていどの反復性によって「とりかえしがつく」と思い込んでいるだけのことだ。そんな無邪気な我々でも不可逆だとわかる最たるものは死だろう。死だけは本当に取り返しが付かない。 その、死について書いたものがたりである。初老の年ごろにさしかかった生物学者の夫妻が死ぬ。その過程を詳細に書いてゆく。分析し、言葉へと置き換え、並べ立ててゆく。いかにもアングロサクソン的だと言いたくなるような執拗さは、ともすると小利口な趣向に裏返りがちだけど、本作についてはそんなことはない。いわば身をよじるようにして死という事象に潜り込んでゆこうとする描き手の丁寧で丹念な筆さばきからは、きちんと浮かび上がってくるものがある。われわれの気付き得なかった死というもの実像の一端に、触れ得たような気分になる。 趣向の奇抜さに見落としそうになるが、物語の設定や道具立てはかなり巧妙だ。中年夫婦の人となりも、どうにも自堕落に育ってしまったらしい娘も、舞台となる海岸も。特に輝かしくもないがかけがえがなかったには違いない若かりしころと、あるていど満ち足りてはいるのだろうがいたるところにほころびが見えている現在。他人ごととは思えないと思う向きは多いに違いない。見事だなと思う一方で、こういう生活のあけすけさが文学に要求される時代になってしまったのだなとも思わされる。個人的にはそれは少々しんどいことで、あまり喜ばしい感情には結びつかないんだけど……。いずれ、こういった静かで退屈な世界にも、不意に死は訪れる。 文章がおどろくべきものであることは強調しておきたい。物書きのハシクレたる自分の目から見ても、この一行をつかみ取るためにはどれほどの苦労が必要だっただろうと思わされる表現が至るところに閃いていた。おそらく作者は、これを書くのに相当な苦労をしたのではあるまいか。二倍も三倍も書いてから切り詰めるのでなければ、とてもこういう強度を持った表現は残るまい。 それでいて、総じて詩情みたいなものに乏しいのはちょっと不思議にも思われた。詩情というとあいまいなようだが、言葉に読み手の感情を誘い込んでゆく糸口と言い換えてもそんなに間違っていないと思う。手法としては先般読んだオンダーチェに似ているなと思いながら、あちらにはむせ返るような詩情があったように思う。敢えて排除したのか、書き手の資質なのか、無頓着なのか、それはよくわからない。個人的な好みだけれど、その点だけは惜しく思った。 死についてのおどろくべき小説だった。死や医療についてというのはみんなが大好きなテーマであり、作品も世にあふれかえっているというのに、こういった徹底したやりかたで死を描いた作品はなかなかなかったのではないか。こういうものを書くには相当な勇気が必要だったのではないかと思う。倫理的にどうとか読者受けがこうとかいうこと以前に、ひとりの書き手としてかなりの覚悟が要ったのではないかと推測する。敬意を表したい。
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欧米ではかなり評価が高いらしいです。冷徹な生死観が貫かれています。 たまには、いつも読まなそうなものを・・と思ったのだけど、どうも見栄を張りすぎました。あまりにも重過ぎた。 正直なところ、ふつうに、身の丈の幸せで暮らしている人には、とてもすすめられない本です。この装丁でと...
欧米ではかなり評価が高いらしいです。冷徹な生死観が貫かれています。 たまには、いつも読まなそうなものを・・と思ったのだけど、どうも見栄を張りすぎました。あまりにも重過ぎた。 正直なところ、ふつうに、身の丈の幸せで暮らしている人には、とてもすすめられない本です。この装丁でとっても正しい。。 でも、読んでしまった。頭に何かが根を張った気がする。
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