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安全保障の国際政治学 焦りと傲り
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 有斐閣/ |
発売年月日 | 2004/07/10 |
JAN | 9784641076792 |
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安全保障の国際政治学
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商品レビュー
4.7
7件のお客様レビュー
国際政治学の中でも、特に安全保障に関する各種概念を、ツキュディデスの『戦史』を引きながら、歴史的事例も交えつつ「焦りと傲り」という視点から考察する。
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副題に焦りと奢りとあるように、焦りと奢りが政治的な判断を誤らせ紛争を生むと。 一章では広い意味でのリアリストのツキュディデスの読み直し。二章は冷戦終結後のリアリズム批判で、アナーキーをどう読むか。三章は冷戦後に問われるようになった漠然としてわかりにくい安全保障そのものが何かについ...
副題に焦りと奢りとあるように、焦りと奢りが政治的な判断を誤らせ紛争を生むと。 一章では広い意味でのリアリストのツキュディデスの読み直し。二章は冷戦終結後のリアリズム批判で、アナーキーをどう読むか。三章は冷戦後に問われるようになった漠然としてわかりにくい安全保障そのものが何かについて。四章はセキュリティジレンマ。五章はプロスペクト理論の国際政治への応用で、領土の奪い合いをお互いが現状維持として認識しやすく、その場合紛争にエスカレートする可能性が高くなる。六章は抑止のディレンマ。七章は核戦略で、NFUとNUTsの2つの思想。八章は国際危機と危機管理についてで、危機に瀕しての意思決定がどのような傾向を持つのか、また危機管理がどう行われたかをキューバ危機とパールハーバーから見る。 新しいバージョンが出たらしくて、ちょっとそっちも気になる好著。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【鹿狩りの寓話『人間不平等起源論』by ルソー】p41 【リアリストの論理】 アナーキー→アクターとしての国家→自助体系→余分の安全→安全保障→相互不信→セキュリティ・ジレンマ→プルーデンス p43 【ホッブズのパラドックス】 権力と権威の独占は、対内的には「国王の平和」、つまり国内支配の正統性を生んだが、対外的には「国王の戦争」、つまり主権を守るための戦争を招来した。言い換えれば、ホッブズによって人格化された主権国家の登場によって、すべての国家もまた「狼」と化したのである。p54 「ホッブズの恐怖」by バターフィールド p110 【銃を持って対峙する二人の男のメタファー by シェリング】p114 【プロスペクト理論】 ・損失回避(ロス・アヴァージョン)や損失を少なくするためにはリスクを厭わないというのである。p146 ・ほとんど起こり得ないほど蓋然性が低いこと(宝くじが当たる、殺人に遭う)でも、それらが際立ったことであるために高く見積もられる。他方、比較的高い蓋然性をもつ事柄(自動車事故に遭う、自殺する)でも、前者と反対の理由で低く見積もられる、ということである。p148 [どこに参照基準点を据えるのか] ジャービス「双方が現状維持をはかっていると考えているときこそ、戦争や紛争が起こりやすい」p152 心理学者D・ベル「意思決定の後悔」p152 「サンク・コスト現象」p153 プロスペクト理論はディフェンシブ・リアリズムが従来主張してきた論考を解明する一つの有力な分析手法と目されるにいたった。p155 (多くの批判を伴うにしろ)なおプロスペクト理論は意思決定研究に「パラダイムシフト」をもたらしたといえるのではないか。とくに利得(ゲイン)で考えるときと、損失(ロス)で考えるときとでは、意思決定の仕方が違うということに私たちの目を向けさせたことである。p166 【抑止の数式 p178】 P (C+R) > (1-P) B C=攻撃のコスト(費用)、R=反撃(報復)されるrisk(危険)、そしてB=攻撃によって得られるbenefit(利得)、そしてP= 抑止側が反撃にでるprobability(確立)のことで、これらはすべて攻撃する側(被抑止国)の見込む値である。 F・イクレ「米国の戦略家のジャーゴンはまるで麻薬のような働きをもつ、すなわち、それは核兵器の悲劇的対立に対するわれわれの道徳的憤りを麻痺させる」p200 【キューバ危機に関して】 P・ナッシュによると双方ともが「われわれが防衛的で、相手が攻撃的だ」と考えていた。 このように双方が被害者意識をもって防禦的立場から相手の攻勢を非難するという構図があった。p272 【同盟行動のパターン by R・シュエラー】 ライオン(現状維持国)、羊(ライオンに追随する小国)、ジャッカル(修正主義国家に追随する国)、そしてオオカミ(修正主義国、ライオンに挑戦する国) →日本の三国同盟の行動パターンを「ジャッカル・バンドワゴン」と読んだ。p308-309 【ネットワーク外部性】 戦後、米国のパワーを強めたのは、さまざまな領域における「ネットワーク外部性」のゆえである。言い換えれば、米国の戦後国際秩序は「収穫逓増」現象をもたらしたのである。このことは、経済分野だけでなく高等教育、医療、研究・開発の分野はもとより、ファーストフード(マクドナルド)、あるいはレジャー産業(ディズニーランド)などさまざまな領域について言える。そしてこのことは、安全保障分野についてもあてはまる。米国の安全保障体制が強力なのは、単に兵器の強さだけでにあるのではない。むしろ、米国の安全保障制度のもっている「収穫逓増」機能にあるのである。そして、同盟こそまさしくネットワークそのものなのである。Microsoftがマッキントッシュを敵としているわけでないのと同様、このネットワーク論に立つ同盟の論理も仮想敵国の存在を必ずしも必要としない。それゆえ、ソ連の崩壊も冷戦の終焉も米国の安全保障ネットワークの強靭性とは直接関係がない。p352-353 力は急変しないが、意思は短期間に変わりうる。p357 日米同盟を、PKOやODAなどとセットで総合的に考えなくてはならない時代に入っている。p360 (アメリカの)「汚れなきイノセンス」by 永井陽之助 p372
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