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柴笛と地図
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柴笛と地図

三木卓(著者)

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柴笛と地図

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社/
発売年月日 2004/07/10
JAN 9784087747065

柴笛と地図

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商品レビュー

3

2件のお客様レビュー

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2012/12/20

多分これだけ読んでも戦後の貧しい男子高校生(進学校の生徒)の話で、特に面白くはないかもしれない。 でも『砲撃のあとで』『裸足と貝殻』と続けて読むと、主人公に愛着がわき、ここまで成長したんだな、としみじみ。 自分の親の世代が青年だったころの考えもリアルによくわかった気がする。 とこ...

多分これだけ読んでも戦後の貧しい男子高校生(進学校の生徒)の話で、特に面白くはないかもしれない。 でも『砲撃のあとで』『裸足と貝殻』と続けて読むと、主人公に愛着がわき、ここまで成長したんだな、としみじみ。 自分の親の世代が青年だったころの考えもリアルによくわかった気がする。 ところでp141に「佐野利一」って出てくるけど、これって佐野洋子のお父さんでは?帝大出て満州行って、教師をしたというのと名前が重なる。 関鑑子ってレーニン平和賞を受賞した声楽家で、戦後活躍したというのは、娘の小野光子の本で知っていたんだけど、p281にちらりとその活躍が書いてあった。 p478にはフィンランド語学者としてのちに高名になる小泉保から英語を習ったとあり、教師にも恵まれていたから、知性も磨かれたんだね。 当時の知性ある若者の思想(当然共産主義)なども詳しく書いてあって興味深い。 それにしても、政治や文学を熱く語り、クラシック(当時まだ知られていなかったマーラー「大地の歌」やシューベルト「死と乙女」やベートーヴェン四重奏曲)に感動し、働いて親を助け、勉強もし。 こんなこと言いたくないけど、高校生なのに立派だ。 世の中を何とかしたい、きっとできるという思いを青年が抱ける時代だったんだな・・・と感慨深い。

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2012/01/10

 思春期っていいなあと思った。  物凄くナイーブな世界。繊細で無知で、色々なことに心をときめかせて悩みながらも、どこかしらあっけらかん自己肯定できてしまう力強さもある。  激動の時代背景だか、そのダイナミックさは以前よりも複雑になっていることに、主人公も気付いている。それは単なる...

 思春期っていいなあと思った。  物凄くナイーブな世界。繊細で無知で、色々なことに心をときめかせて悩みながらも、どこかしらあっけらかん自己肯定できてしまう力強さもある。  激動の時代背景だか、そのダイナミックさは以前よりも複雑になっていることに、主人公も気付いている。それは単なる時代の問題じゃなくて、主人公自身の心の問題でもある。浅瀬の勢いに飲まれるのではなく、むしろ深く沈んでいくような危うさ、それでも自分の手で、その不自由な足で泳いで行こうとする決意の爽やかさが、読後感として残る。  作者の自伝的な小説。たかだか十代後半の短い時代を描いた作品なのに、その個人性が読む者の心に確実に浸み込んで来る。  何がしかの物を書き、その書いたものに何かを感じたい。そんな創作と読書の楽しみに満ちた物語。

Posted by ブクログ