ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代(中) 岩波文庫

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(著者), 山崎章甫(訳者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2002/03/15
• JAN: 9784003240571

商品レビュー

2010/05/28

交錯した恋愛関係を扱…

[文庫ＯＦＦ]

交錯した恋愛関係を扱った挿話「五十歳の男」、アフォリズム群「遍歴者たちの精神による考察」など、豊かな作品世界が繰り広げられる。

2023/04/17

7 ヴィルヘルム、フェリクス父子、教育州へ
そこの少年たちの風変わりな身振りと挨拶（腕を組み天を見上げたり）。歌
監督、ついで「三人会」（彼らの聖所の管理をしている）の人々に話を聞く
15 人間が一個の人間であるために最も重要なものは畏敬。さきほどの風変わりな三様の身振りもこれを表す
イスラエル史やキリスト史を描いた画廊を説明を受けながら見て回る。今は見せられないエリアも、一年後の学園祭の時には全て見せてもらう約束
38 挿入話　五十歳の男
伯父である50歳の少佐、美しい姪のヒラーリエ
少佐は息子フラーヴィオ（少尉）とヒラーリエに結婚してほしいと思っており、その段取りも進めていたが、彼女が好きなのは自分であると妹（ヒラーリエの母）に教えられる。当惑するが、好ましく思い、若返り術など試す。喜び合う3人。
息子を訪問。彼はヒラーリエでなく、若く美しく金持ちの、ある未亡人を情熱的に愛しているとのこと。気がかりはあるが内心喜ぶ父。ヒラーリエと自分の婚約を話し、息子も大賛成。未亡人宅では愛想良く迎えられ、魅せられる。父子仲良くそれぞれ結婚計画。
妹はこの未亡人が気がかりで、友人である、かのマカーリエに手紙で相談。
息子、未亡人に振られ病床にふせるも、ヒラーリエらに慰められ回復。友情、愛情へ。スケート
父、これを知り、気落ちしつつも理解と分別をもって、ふたりの結婚を認める。がヒラーリエは気高くも拒否。そんななか未亡人に呼び出され、マカーリエと妹とのやりとりの手紙を見せられる。マカーリエは「道徳的な魔法の鏡を掲げて、そこに映る混乱した外面の姿を通して、誰か不幸な人に、その人の純粋な美しい魂を示してやり、突然、初めて、自分に満足させ、新しい人生に踏み出させ」る人。未亡人もこれに救われ、大佐は彼女に道徳的に美しい存在が立ち現れてくるのを感じ、いつまでも忠実に愛し続けるに値する人だと思った。
132 ヴィルからレナルドーへ手紙。彼女が見つかって元気にやっている
135 イタリア、ミニヨンのゆかりの地旅行。ミニヨンに魅せられている優れた画家とともに。
141 ヒラーリエと美しい未亡人もしばしの旅の仲間に（なぜ知り合ったかは書かれておらず、とうとつ）。ヒラーリエ、画術の才を開花。美しい日々。別れ
158 書簡。それぞれレナルドーと神父（アベ）から。レナルドーは結社と盟約を結んでおり、彼の伯父から譲り受けた未開拓地の展開を結託して計画中。新しく工場を作って人を迎え入れたり、全て最初から。
ロターリオ（ヴィルの妻ナターリエの兄）は優れた芸術家をかの地に迎え入れるべく、教育州への旅行を検討中。あの教育施設とは引き続き関係を持ちたい。
162 ヴィルの結社からの制限を解除。どこでどれだけ旅し留まってもよい。
164 数年の間
ヴィル、教育州へフェリクスに会いに。彼の成長ぶりに十分満足。祝祭市。音楽、詩、絵画、建築などの芸術について、監督から話を聞きつつ見て回る
185 諸芸術のうち演劇に関しては辛辣。怠惰な愚民を前提とする、危険なまやかし。偽りの快活さや見せかけの悲しみによって、その時その時にふさわしくない偽物の感情をかき立てられられ、いつも不快な喜びを、入れ替わり立ち替わり呼び起こそうとするもの。演劇は他の芸術を利用するが、それらをだめにする。
190 続いて山祭りに。ヤルノ（モンターン）と再会
199 ヘルジーリエからヴィルへ手紙。教育州のフェリクスから可愛らしいことづけの報告
205 ヴィルからナターリエへ手紙。
ヴィルの幼少期のエピソード。祝祭の日、田舎の村で漁師の息子である年長格の少年と会う。川遊び。人間の裸は美しく、互いの心が惹かれあう。熱いキス、永遠の愛を誓い合う。今度は郡長の家の美しい少女に花が咲き乱れる庭の案内をしてもらい、心惹かれる。
後年、当時を振り返ってわれながら羨ましく思う。友情と恋の予感に同時に捉えられ、美しい少女としぶしぶ別れた時、この気持ちを彼に打ち明け、このみずみずしい感情と同時に、彼の関心を楽しもうと考えて自ら慰めたのだから。
約束した場所に彼はおらず、友情を傷つけられた、激情的な苦痛。
葬列を目にする。彼と不幸な子供たちは川で溺れ死んでいたのだった。後日、迅速に瀉血を行なっていれば皆を助けられたのではないかと耳にし、熱意に駆られてそれらについて学ぼうと考えたが、日常生活の渦の中、忘れてしまう。
（演劇は自己を離れた、誤った道だったとの記述）
ヤルノとの会話について。ヴィルはかつてナターリエに助けられた時、深い印象で目にした医療鞄を手に入れており、いつも持ち歩いていた。それを見たヤルノに医者の道を進むようあと押しされる。
231 遍歴者たちの精神による考察。177個のアフォリズム群