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イタリア古寺巡礼 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2002/11/15 |
JAN | 9784003314463 |
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イタリア古寺巡礼
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商品レビュー
4.3
16件のお客様レビュー
イタリアの美術の絵が…
イタリアの美術の絵がたくさん乗っています。
文庫OFF
40年近く前、仏像鑑賞に凝っていた頃に和辻哲郎の『古寺巡礼』を読んでいたく感動した。今回読んだ『イタリア古寺巡礼』は『古寺巡礼』ほどの感動はなかったが、なかなかよかった。昭和初期に書かれたにもかかわらず、今でもイタリア美術旅行のガイドブックとして、イタリア美術鑑賞の手引きとして十...
40年近く前、仏像鑑賞に凝っていた頃に和辻哲郎の『古寺巡礼』を読んでいたく感動した。今回読んだ『イタリア古寺巡礼』は『古寺巡礼』ほどの感動はなかったが、なかなかよかった。昭和初期に書かれたにもかかわらず、今でもイタリア美術旅行のガイドブックとして、イタリア美術鑑賞の手引きとして十分役に立ちそうである。作品の写真が少なく、また白黒写真なので文章表現だけではわかりづらく、一つ一つインターネットでカラー写真を確認しながら読んだ。私が一番興味を持っているのは、シエナ派の美術。いつかこの書を携えて美術鑑賞旅行に行きたいと思っている。
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本書は和辻哲郎が欧州留学の際にイタリア各地を訪れて綴った美術紀行である。イタリア美術といえばルネサンス、特にその絵画が注目されがちだが、和辻の筆は、どちらかと言うと絵画よりも彫刻や建築などの空間芸術、とりわけギリシャ人が残した空間芸術を語る時の方が冴えている。ジオットからボッティ...
本書は和辻哲郎が欧州留学の際にイタリア各地を訪れて綴った美術紀行である。イタリア美術といえばルネサンス、特にその絵画が注目されがちだが、和辻の筆は、どちらかと言うと絵画よりも彫刻や建築などの空間芸術、とりわけギリシャ人が残した空間芸術を語る時の方が冴えている。ジオットからボッティチェリに至る数々の巨匠の絵画を論じても、総じて「よく描けてるね」という感じで、絶賛とまではいかない。東洋的な落ち着いた色調を好む和辻には、西洋絵画の色彩感覚が今ひとつ肌に合わないと見える。 一方「ミロのヴィーナスの比ではない」とまで褒めちぎる「シヌエッサのヴィーナス」を語る次の一節は圧巻である。「肉体の表面が横にすべっているという感じは寸毫もない。あらゆる点が中から湧き出してわれわれの方に向いている。内が完全に外に現れ、外が完全に内を示している。・・・霊魂そのものである肉体、肉体になり切っている霊魂である。」和辻は処女作『古寺巡礼』でも法隆寺夢殿観音の微笑にモナリザの微笑にはない「霊肉の調和」を見出していた。 ミケランジェロのモーゼ像も「中から盛り出るもの」を刻み出そうとするのだが、内なる精神を外に押し出そうと意匠を凝らすミケランジェロに対し、ギリシャ彫刻には内と外の区別がないと和辻は言う。ミケランジェロは「深刻」で「精神的」かも知れぬが偏っており、全体の調和の中で朗らかに安らうギリシャ人にはかなわないと。ミケランジェロを「ごたごた」していると評する和辻の美意識には簡素を重んじる東洋人の感性が滲んでいる。 建築においても和辻はシチリアに残るギリシャ神殿の「粛然」とした「単純さ」を讃えており、それをロマネスクの「厳粛」さでも、ゴシックの「神聖」さでもなく、唐招提寺の「魂の静けさ」に重ね合わせる。こう見てくると、本書はイタリアを介した和辻のギリシャ発見であり、東洋再発見の旅と言えるかも知れない。和辻の美意識のプリズムを通した比較文化論でもある。随所に散りばめられたイタリア各地の自然・風土への眼差しには常に日本との対比が意識されており、それは後に本格的な比較文化論である『風土』に結実する。
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