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ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語
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ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語

伊熊よし子(著者)

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ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語

定価 ¥2,200

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ヤマハミュージックメディア
発売年月日 2003/07/20
JAN 9784636208184

ショパンに愛されたピアニスト

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2022/11/25

ずっと読みたいと思っていた本。 でも、エピローグを読んでどきっとした。 「僕はどこに行っても、《戦争中に防空壕の中で紙鍵盤で練習していたんだって?》と、そればかり聞かれてきた。それが僕のすべてみたいに。ほかのこともいろいろやってきたのに、その面だけが興味本位で取り上げられてきた...

ずっと読みたいと思っていた本。 でも、エピローグを読んでどきっとした。 「僕はどこに行っても、《戦争中に防空壕の中で紙鍵盤で練習していたんだって?》と、そればかり聞かれてきた。それが僕のすべてみたいに。ほかのこともいろいろやってきたのに、その面だけが興味本位で取り上げられてきた。これからは、もうそのことばかり聞かれずにすむかもしれない」 私もそこに一番興味があった一人なので、大変に恐縮してしまった。 だけど、申し訳ないけれど、やっぱり彼から話を聞くなら、ベトナム戦時下での前半生は必須だし、そこに光が当たるのはしょうがないとも思ってしまう。世界的なピアニストとしてはあまりにも特異な幼少期だから。 ハイライトはやはり、空爆激しい戦時下に、遠路はるばる水牛にひかれてピアノがやってくるところ。 ハノイから、音楽院の生徒たちの疎開先まで70キロ以上ある道のりを、1カ月かけて4つの川を超えてやってきたアップライトピアノ。 水に浸かってボロボロの状態だったらしいが、村人たちが総出でその到着を迎えた様子を想像して胸が躍った。 たった一台のピアノだったから、一日20分も触ることはできなかった、とあって驚く。ピアノはどの楽器よりも練習量が重要な楽器だけに。 全然関係ないけれども、マイケル・ルイスのフラッシュ・ボーイズで描かれていたソ連のハッカーのことを思い出した。ソ連出身に優秀なプログラマやハッカーが多いのは、大学などには限られた台数しかコンピューターがなく限られた時間しか触れなかったが故に、彼らは頭の中で何度もくりかえし自分の書いたプログラムを推敲して洗練させ、実際にコンピューターを触ることができる貴重な時間を最大限に生かそうとしたからだ、というようなことが書かれていた。 英才教育を受けたサラブレッドじゃない人たちのこういう話って、有名無名に限らず、とても気持ちいい。 いくらでも聞いていられますね。 しかし、ソ連留学時代には、他国の人と話すのを国から禁じられていた、というようなことが書かれていて、とても驚いた。 ビザが降りなかったり、国外に行く許可が出なかったり、というレベルの話は、ベトナムだけじゃなく東側陣営出身の音楽家はみんな多かれ少なかれ経験している様子が時々見える。 芸術というと、政治的なものから一番遠いもののように思えるのに、実際はけっこうな影響をダイレクトに受けるものなんだなとも考えさせられた。 ところで、この感想で彼自身の音楽について全然触れていないのは、私がそのあたりまったく無知だからです。最初の話に戻るけど、ほんと付随的なところばかりに注目して申し訳ない。 これからいっぱい聴きます。

Posted by ブクログ