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朝鮮短篇小説選(下) 岩波文庫
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朝鮮短篇小説選(下) 岩波文庫

アンソロジー(著者), 李孝石(著者), 金裕貞(著者), 李箱(著者), 金東里(著者), 大村益夫(訳者), 長璋吉(訳者), 三枝寿勝(訳者)

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朝鮮短篇小説選(下) 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/
発売年月日 2000/09/14
JAN 9784003207420

朝鮮短篇小説選(下)

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2023/02/28

滅多に読むことのない朝鮮近代小説、しかもその代表的な人物、李箱の短編が載っている文庫本が復刊されたと聞き、購入した。イメージしていたのと違い、読み通すのに時間がかかった。 韓国映画は、一本の中にどんでん返しが3回ぐらいあるので、かなりとんがった短編が続くのかと思っていた。それは...

滅多に読むことのない朝鮮近代小説、しかもその代表的な人物、李箱の短編が載っている文庫本が復刊されたと聞き、購入した。イメージしていたのと違い、読み通すのに時間がかかった。 韓国映画は、一本の中にどんでん返しが3回ぐらいあるので、かなりとんがった短編が続くのかと思っていた。それは韓国文学を知らない私の「思い込み」だった。ほとんどが、起伏のない、貧しい無学の人々の、何らかの世界観を表した文章群であった。日本のチャンバラ小説と有島や芥川の小説が天地ほどちがうのと同じ、と言えば良いのか。 どの作品も、遅れて近代化に参加した朝鮮半島の人々と、戦争と日本による植民地下に暮らす人々が背後に蠢いてはいるが、作家自身はそれとは関係なく自らの個性をなんとか出そうと試みているようにも思える。少なからぬ作家が、戦後北朝鮮に行って行方不明になっている。 金南天『少年行』、朴泰遠『五月の薫風』は良かった。朴の『河辺の風景』(1937)は蔵書にある。 李箱(イ・サン)の『翼』は、その中でも極めて抽象性の高いお話だった。 李箱(1910-1937)ソウルサジク洞生まれ。本名金海卿。1929年京城高等工業学校卒業後、朝鮮総督府内務局建築課技師として就職、のち官房会計課営繕係に移るが、1933年喀血のために辞職。喫茶店、カフェーなどの経営を試みるがいずれも失敗し、1936年10月渡日。1937年2月に西神田警察署に勾留され、健康悪化のため保釈されたが、4月東京帝大病院にて死亡。(略)実験的で難解なモダニズム詩を次々に書き(略)詩壇に物議をかもした。(略)‥‥以上各編扉表紙裏に記された略解に依る。つまりは、サラリーマン中に新進作家として注目され、病弱で退職したのちは何とか作家と個人経営店の二足の草鞋で一家を生そうともがいた人のようだ。希望を抱えて渡日したのだろうが、おそらくは何らかの特高の言いがかりで勾留されたのだろう(作品を読んでも、抗日の意識は全くない)。不幸は彼が病弱だったということなのだろう。 『翼』 ほんの30頁ほどの短編。 舞台はソウル清渓川を思わせる川の辺りの、遊郭街の一室。女性の部屋の奥には、1人の私(男?)(動物?)が住んで(飼われて)いる。だんだん狭い部屋でトラブルが出てくると私は外へ出て行くようになる‥‥京城駅(ソウル駅)に着いても私のポケットにはお金がないのであった。私は翼があれば良いと思う‥‥。 「私」を「ヒモ」だと断じるのは、なんか違う気がする。ハッキリ言って、共感はできない。好き勝手にやってくれと思う。でも多分きちんと読み解いている人もいるのだろう。 李箱が何故気になるかというと、彼の名を冠した「李箱文学賞」なるものがあって、これが 純文学に与えられる賞で、「韓国の芥川賞」とも称されているからである。韓国の「純文学」を体験するには、李箱を通す方が本筋なのだろうか、どうか確かめたかった。結局わからなかった。 因みに、私の読んだことのある6冊の韓国文学の中で受賞者がいるかと調べてみたら、 第28回 (2004年) 金薫(キム・フン)で、読んだのは 『孤将』 。 第29回 (2005年) 韓江(ハン・ガン)で、読んだのは『少年が来る』。 第35回 (2011年) 孔枝泳(コン・ジヨン)で、読んだのは『トガニ 幼き瞳の告発』。 などがいた。 何も知らなくても、邦訳のある韓国文学を読むと「李箱文学賞」に当たるのである。

Posted by ブクログ

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