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FUTON
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2003/05/30 |
JAN | 9784062118934 |
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FUTON
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商品レビュー
3.4
11件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
入れ子的な複層構造は著者の作品『小さいおうち』や、朝井まかて著『恋歌』など比較的昨今ありがちな構成。そこに『蒲団』という実際あった100年前の自然文学の名作(迷作)を題材に採ったところが本作の妙。 登場人物の一人、日本文学研究者のアメリカ人デイブ・マッコリ―をして、 「いや、なんでって。だって、キュートな話じゃない?」 「恋をして、おたおたしている男って、ちょっとキュートじゃない?」 と言わせているように、著者中島京子が『蒲団』をキュートと捉えたところが慧眼か。竹中時雄の振る舞いをユーモラスと思って『蒲団』を読み直すことが出来る。 『蒲団』を読み直し、また同じころ獅子文六も読んでいたので、時代は移っても男のダメさは変わらない。シタタカなのは女であるとの思いを確かにしたが、本書でも、時代も国境をも超えて、女に翻弄される男の姿を面白おかしく描いている。また、作中作として『蒲団の打ち直し』と題し、アメリカ人研究者に『蒲団』を竹中の妻美穂の目線から書き直させているのも面白い。確かに『蒲団』を読んで妻の立場からしてどうなの?と思っていたので、冒頭から面白い!と膝を打った。当時とはいえ、明治という時代はまだまだそうとう男尊女卑だった。妻の立場がないじゃんと思っていたが、さにあらず、妻側にも感情、言い分もあったんだぞと中島京子が代弁者として筆を揮う。 が、これ、出来過ぎなんだなあ。妻美穂の立場、思いが実に良く描かれているが、故に、これを男性であるデイブが書けるはずないよな、と読みながら思ってしまった。 「何故だろう。何故、私はこの娘が嫌いなのだろう、と美穂は考え始める。」 男なら、はっきり”嫌い”とは書けない。あるいは、芳子の恋人田中に対しても、 「でもその若い男のほうが夫よりも清らかに思えてしまう自分自身に驚いて、美穂はそれを夫に気取られまいと台所へ引っ込む。」 こんな感情を男は描けなかった。中島京子だから美穂の気持ちを慮って書けたと思うところだ(表現として、妻美穂の心情を三人称の立場からデイブに書かせた点も、よく『蒲団』を研究している)。 とはいえ、この着想は面白く、次は芳子目線の『蒲団』を書いてもらえないだろうかと妄想が膨らむ。芳子の言動は計算か天然か? 男を軽く手玉にしそうな、したたかな閨秀作家にものして欲しい。 さて、そんな入れ子構成の中、現世ではアメリカ人の教授デイブが教え子エミ・クラカワに熱を上げ、エミの故郷の日本では90歳のウメキチとアーティスト・イズミの関係、更にはウメキチの戦後の記憶に出てくるツタ子の物語が錯綜し、複層の襞は厚みを増すが、そこはあまり効果的だったとは思えないところ。 エミを追って日本にやってきたデイブとイズミが出会うことになり、トウキョウの今の在り様と街としての記憶を、ペースメーカーが埋め込まれたウメキチの体になぞらえて語ったりもするが話が拡がり過ぎか。デイブとイズミの芸術に関する会話は面白かったけど、そこもやや唐突感があった。ひょっとしたら『FUTONの打ち直し』として、イズミの物語を書こうとしたか?(それはないと思うけど) 執筆中のタイミングもあったのかもしれないが9.11も出てくる。デビュー作、ちょっと詰め込み過ぎたかな。 やはり、ここは時代が変わっても男と女の所業は変わらないことに焦点を絞ったほうが良かったかもしれない。 作中作で美穂はつぶやく。 「時代が変わればふしだらではなく、阿呆は悧巧者と変わるのだろうか。」 モラルのレベルは変わったかもしれない。ふしだらのボーダーも下がったか?(いや、でもまた昨今セクハラ議論で境界が揺らいでいそう) でも、阿呆は阿呆のままのような気がする。特に、男のほう。 デイブが、銀座の街で占い師に呼び止められ、こう告げられる。 「やや、おぬし、女難の相が出ておるぞ。」 十中八九、こう呼び止められれば男はギクッっとするもの。古今東西、それは変わらないようだ。
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嘘でも、本当でも、どっちだっていい。 それが、その時、その人が、自分に話したい、と思ってくれたことなら。
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田山花袋のふとんを別の視点から書き出す、アメリカ人学者と、かれを巡る恋の話。 訥々とおもしろく、あっという間に読み終えました。
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